胸腔鏡下胸部交感神経節切除術による良導点電流量の変化

ノイロメーターで計測した良導点電流量は交感神経の機能に応じて変動するとされており, その根拠として腰部交感神経節を切除した患者の患側下肢の電流量は減少することが報告されているが, 時間経過など詳細は明らかではない. そこで, 新たに開発した測定器を用いて, 胸腔鏡下でTh2およびTh3胸部交感神経節切除術による良導点の皮膚通電電流量の変化を12V, 200μAの条件で3分毎に連続自動測定する機会を得たので報告する. 方法 患者は手掌多汗症を主訴とする20歳の男性で, 平成11年5月12日に大阪医科大学麻酔科にて, 胸腔鏡下胸部交感神経節切除術における左右の顔面部(四白穴F_6 51), 手背部...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本鍼灸良導絡医学会誌 Vol. 27; no. 4; p. 28
Main Authors 吉備登, 王財源, 楳田高士, 北村智, 平井清子, 久下浩史, 河内明, 森川寿美栄, 森川和宥, 田中源重
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本良導絡神経学会 01.09.1999
Online AccessGet full text
ISSN0286-1631

Cover

Loading…
More Information
Summary:ノイロメーターで計測した良導点電流量は交感神経の機能に応じて変動するとされており, その根拠として腰部交感神経節を切除した患者の患側下肢の電流量は減少することが報告されているが, 時間経過など詳細は明らかではない. そこで, 新たに開発した測定器を用いて, 胸腔鏡下でTh2およびTh3胸部交感神経節切除術による良導点の皮膚通電電流量の変化を12V, 200μAの条件で3分毎に連続自動測定する機会を得たので報告する. 方法 患者は手掌多汗症を主訴とする20歳の男性で, 平成11年5月12日に大阪医科大学麻酔科にて, 胸腔鏡下胸部交感神経節切除術における左右の顔面部(四白穴F_6 51), 手背部(陽難穴H_3 5), 手掌部(労宮穴H_2 2)の皮膚通電電流量の変化を経時的に測定した. なお, 電気メス使用中は測定を中断し, 測定は手術前日, 手術後1日, 13日後にもおこなった. また, 手術中の手掌の表面温および深部温も測定した. 結果および考察 手術前日の測定では6部位とも電流量が多いが, 全身麻酔の手術中は少なくなり, 右側の胸部交感神経節切除後は右手掌部のみ極端に減少し, 右の手掌の表面温および深部温は上昇した. 左側の切除後は左手掌部が減少し, 左の母指球の皮膚表面および深部の温度は上昇した. 手術後1日目の6部位とも電流量は少ないが左右の手掌部はほとんど0となった. 13日後では顔面部, 手背部の電流量は少し増加したが, 手掌部では減少し続けた. 患者は両手掌部からの発汗はほとんど無くなり, 動悸もしなくなったと訴えており, それぞれ手掌部の電流量が減少したことは, 交感神経との関連を示唆するものと思われる. 結論 胸腔鏡下胸部交換神経節切除術による皮膚通電電流量の変化を3分毎に連続自動測定した. 1)胸部交感神経節切除後は術側の手掌皮膚表面および深部の温度は上昇し, 皮膚通電電流量は術側の手掌部が減少した. 2)手術後1日目の6部位とも電流量は少なく, 左右の手掌部はほとんど0となった. 3)13日後では顔面部, 手背部の電流量は少し増加したが, 手掌部では減少し続けた.
ISSN:0286-1631