末梢血幹細胞(PBSC)移植におけるCD34陽性細胞モニタリングの意義
【目的】末梢血幹細胞(PBSC)移植は, 化学療法後や放射線療法後の骨髄救済療法として広く普及してきている. PBSCの評価方法としては, 現在, その手技の簡便性と迅速性からCD34^+ 細胞測定によるPBSCのモニタリング, 採取量の評価が行われるようになってきた. PBSC動員については, 使用する化学療法剤や G-CSF 投与量などにより影響をうけるため, PBSC動員に関係する因子についての検討が必要である. 今回, PBSC採取前日の末梢血中CD34^+ 細胞数と, 採取バッグ中のCD34^+ 細胞を測定し, 至適採取条件について検討したので報告する. 【対象と方法】PBSC移植が...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 44; no. 2; p. 210 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
01.04.1998
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ISSN | 0546-1448 |
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Summary: | 【目的】末梢血幹細胞(PBSC)移植は, 化学療法後や放射線療法後の骨髄救済療法として広く普及してきている. PBSCの評価方法としては, 現在, その手技の簡便性と迅速性からCD34^+ 細胞測定によるPBSCのモニタリング, 採取量の評価が行われるようになってきた. PBSC動員については, 使用する化学療法剤や G-CSF 投与量などにより影響をうけるため, PBSC動員に関係する因子についての検討が必要である. 今回, PBSC採取前日の末梢血中CD34^+ 細胞数と, 採取バッグ中のCD34^+ 細胞を測定し, 至適採取条件について検討したので報告する. 【対象と方法】PBSC移植が適応の固形癌患者30例に対して施行されたPBSC採取51回について検討した. PBSC動員は, G-CSF単独, 化学療法剤とG-CSFの組み合わせの両法により行われ, 1回採取処理量は, 4.0~10.0L(平均8.6L)であった. PBSC動員後, PBSC 採取前日か2日前に得られた末梢血, また, PBSC採取血において, フローサイトメトリー試験によるCD34^+ 細胞測定を施行し, 検討を行った. 【結果】PBSC採取前日の末梢血CD34^+ 細胞数(x:/μL)と, 翌日の採取CD34^+ 細胞数(y:×10^6 /kg)との回帰分析を行い, y=0.14x+1.74(r=0.61)と, 弱い正の一次相関が認められた. そこで, 前日の末梢血CD34^+ 細胞数(/μL)を1未満, 1以上5未満, 5以上10未満, 10以上50未満, 50以上に分け, 翌日の採取CD34^+ 細胞数が2×10^6 /kg以上採取された回数を検討したところ, それぞれ0回/7回中(0%), 6回/15回中(40%), 5回/9回中(56%), 11回/14回中(79%), 5回/5回中(100%)と漸増傾向にあった. 【結論】前日の末梢血CD34^+ 細胞と採取CD34^+ 細胞数は正の一次相関を示し, 前日の末梢血中にPBSCが10個以上あれば, 80%以上の採取においてCD34^+ 細胞として2×10^6 /kg以上採取可能であった. 一回の移植に必要なCD34^+ 細胞を得るためには経時的なCD34^+ 細胞の測定が重要であると考えられた. |
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ISSN: | 0546-1448 |