骨髄移植施行に関する背景因子の検討

近年, 造血系の悪性腫瘍や再生不良性貧血に対して, 治癒を目指す治療として同種骨髄移植が行なわれているが, 同種移植時にはdonorの選択やHLA適合性の問題, 医師, 家族, 患者の移植に対する理解度等が問題となる. 今回我々は同種移植に至るまでに問題となる背景因子について検討した. 同種移植希望者および予定者は男性8例, 女性7例, 計15例, 平均年齢26歳(15歳~38歳). HLA typingを行なえたのは13例で, うち5例matching. HLA一致donor5例中3例に同種移植施行し, 残り2例は移植前に敗血症にて死亡し, 移植には至らなかった. HLA不一致者8例中2例に...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 34; no. 6; p. 648
Main Authors 比嘉敏夫, 阿部信彦, 瀬戸一寿, 小林直樹, 入江達朗, 笠井正晴, 橋野聡, 福原敬, 藤本比沙雄, 今村雅寛, 桜田恵右, 宮崎保
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.12.1988
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ISSN0546-1448

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Summary:近年, 造血系の悪性腫瘍や再生不良性貧血に対して, 治癒を目指す治療として同種骨髄移植が行なわれているが, 同種移植時にはdonorの選択やHLA適合性の問題, 医師, 家族, 患者の移植に対する理解度等が問題となる. 今回我々は同種移植に至るまでに問題となる背景因子について検討した. 同種移植希望者および予定者は男性8例, 女性7例, 計15例, 平均年齢26歳(15歳~38歳). HLA typingを行なえたのは13例で, うち5例matching. HLA一致donor5例中3例に同種移植施行し, 残り2例は移植前に敗血症にて死亡し, 移植には至らなかった. HLA不一致者8例中2例に自家骨髄移植施行. 6例は従来の化学療法継続中. また, 2例は本人あるいは家族の同意がえられずHLA typing未施行. さらに, 臨床的に骨髄移植を行なった際に問題となった成分輸血やサイトメガロウイルス抗体価, さらにHLA-bankingの問題について検討し報告する.
ISSN:0546-1448