慢性期脳血管障害における潜在性嚥下障害の診断意義

Computed Radiography(CR)による咽頭二重造影法は, 自覚症状を認めないが臨床検査上嚥下機能に異常をみる軽微な嚥下障害(潜在性嚥下障害)の発見に有用である. この方法を利用し, 臨床的に嚥下障害を認めないと判定した慢性期脳血管障害72例の嚥下機能を再評価したところ, 40例(56%)でCRによる咽頭二重造影において異常所見をみた. その異常頻度は精神知的障害, 高次脳機能障害, 麻痺性構音障害を伴う場合や脳幹障害例で高かった. また6名で1年以後ムセ症状が出現し, videofluorographyで3名に誤嚥像を確認した. 嚥下障害顕性化例では無症状時咽頭二重造影で喉頭蓋...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 35; no. 12; pp. 1055 - 1056
Main Authors 澁谷誠二, 村橋真, 若山吉弘, 浅井潤一郎, 藤本司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.12.1998
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Summary:Computed Radiography(CR)による咽頭二重造影法は, 自覚症状を認めないが臨床検査上嚥下機能に異常をみる軽微な嚥下障害(潜在性嚥下障害)の発見に有用である. この方法を利用し, 臨床的に嚥下障害を認めないと判定した慢性期脳血管障害72例の嚥下機能を再評価したところ, 40例(56%)でCRによる咽頭二重造影において異常所見をみた. その異常頻度は精神知的障害, 高次脳機能障害, 麻痺性構音障害を伴う場合や脳幹障害例で高かった. また6名で1年以後ムセ症状が出現し, videofluorographyで3名に誤嚥像を確認した. 嚥下障害顕性化例では無症状時咽頭二重造影で喉頭蓋谷や梨状窩に造影剤の貯留をみるA´型を示し, 高齢者で多発性脳梗塞によるものが多かった. 従って, このような症例では特に長期予後的に嚥下機能についての留意が必要である.
ISSN:0034-351X