久留米大学病院における直接クームス陽性例についての解析
当検査室に提出された全検体について直接クームス試験を実施し, その解析を行ったので報告する. 対象:検討期間は平成12年2月18日から同年7月31日までの111日間. 総検体数は6,630件で, 重複を除いた検体数は4,490件であった. 方法:全ての検体について直接クームス試験を実施し, 陽性の検体については特異血清(抗IgG血清, 抗C3b・C3d血清)との反応, 更にエーテル解離試験による抗体の特異性を検査した. 結果:直接クームス試験陽性率は, 検体陽性40件のうち, 重複を除いた32件で, 0.71%(32/4,490)であった. 男女比率は男性21人(65.6%), 女性11人(3...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 47; no. 1; pp. 40 - 41 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
01.02.2001
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ISSN | 0546-1448 |
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Summary: | 当検査室に提出された全検体について直接クームス試験を実施し, その解析を行ったので報告する. 対象:検討期間は平成12年2月18日から同年7月31日までの111日間. 総検体数は6,630件で, 重複を除いた検体数は4,490件であった. 方法:全ての検体について直接クームス試験を実施し, 陽性の検体については特異血清(抗IgG血清, 抗C3b・C3d血清)との反応, 更にエーテル解離試験による抗体の特異性を検査した. 結果:直接クームス試験陽性率は, 検体陽性40件のうち, 重複を除いた32件で, 0.71%(32/4,490)であった. 男女比率は男性21人(65.6%), 女性11人(34.4%)で平均年齢±SDは60.3歳±23.2であった. 陽性検体の依頼科別では, 病棟25件(78.1%), 外来2件(6.3%), 救命救急5件(15.6%)で, 病棟の内訳は肝疾患6件, 心疾患4件, 血液疾患4件, 腎疾患3件, 肺疾患2件, その他5件であった. このうち直接クームス試験の依頼があったのは2件(6.3%)であり, そのうち1例はRh不適合妊娠による新生児溶血性疾患患者であった. 特異血清による反応態度は, 広範囲クームス, 抗IgG血清, 抗C3b・C3d血清全て陽性例;1件(3.1%), 広範囲クームス, 抗IgG血清のみ陽性例;28件(87.5%), 広範囲クームスのみ陽性例;3件(9.4%)であった. また, 解離試験が実施できた30件のうち, 解離液との反応陽性例は10件(33.3%)であり, 抗D抗体による新生児溶血性疾患患者1名を除く全例において血液型特異性を見出すことはできなかった. なお, 直接クームス陽性を示す患者に赤血球輸血を実施した例は16件(50.0%)で, 全例赤血球MAP製剤を使用した. まとめ:久留米大学病院における直接クームス試験陽性例について解析を行ったが自己抗体の特異性を見出すことができなかった. |
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ISSN: | 0546-1448 |