シチメンチョウウイルスDNAの構造とマレック病ウイルスDNAとシチメンチョウウイルスDNAの相関

マレック病ウイルス(MDV)はニワトリに対するリンパ腫の原因ウィルスであり, われわれは, すでにMDV-DNAのBam HI制限酵素地図を作製し, その構造がヘルペスウイルスtype 1と2のように両側にinverted repeatをもつ二つのunjque regionから構成されていることを報告してきた. シチメンチョウウイルス(HVT)は, MDVと免疫学的に関連していることが示され, 現在, マレック病に対するワクチンに利用されている, 今回, われわれは, マレック病に対するワクチンと腫瘍のメカニズムを考えるために, HVT-DNAのBam HI制限酵素地図を作り, HVT-とMD...

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Published in昭和歯学会雑誌 Vol. 6; no. 1; p. 75
Main Authors 五十嵐武, 鷹森健志郎, 平井莞二, 田中晶子, 野々山明範
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学・昭和歯学会 01.03.1986
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Summary:マレック病ウイルス(MDV)はニワトリに対するリンパ腫の原因ウィルスであり, われわれは, すでにMDV-DNAのBam HI制限酵素地図を作製し, その構造がヘルペスウイルスtype 1と2のように両側にinverted repeatをもつ二つのunjque regionから構成されていることを報告してきた. シチメンチョウウイルス(HVT)は, MDVと免疫学的に関連していることが示され, 現在, マレック病に対するワクチンに利用されている, 今回, われわれは, マレック病に対するワクチンと腫瘍のメカニズムを考えるために, HVT-DNAのBam HI制限酵素地図を作り, HVT-とMDV-DNAの制限酵素地図上のホモロジーとその位置関係を調べた. 精製したHVT-DNA(Fc126 strain 由来)は, Bam HIにより20フラグメントを生じ, そのうち18フラグメントをpBR322またはpHC79内にクローニングし, おのおののフラグメントをニック・トランスレーションにより^^32 Pでラベルしたのち, Southern blot hybridizationを用いて, Bam HI, Hind III, Pst Iの3種の酵素で切断したHVT-DNA上にハイブリダイゼーションして作製した. その結果, HVT-DNAは, 分子量107メガダルトン, その構造は, 両端にinverted repeatをもつ二つのUnique regionからなっていた. これらは, 先に報告された電顕の結果と類似し, さらにMDV・DNAと同じ構造を有していた. 次にMDV-とHVT-DNAの各フラグメント間のホモロジーを調べたところ, そのほとんどがLong unique region内に存在しており, 対応するフラグメントは, ウイルスの種が異なるにもかかわらず, 地図上のほぼ同じ位置に存在していた. これらの結果は, 今後ワクチンに関与する遺伝子を明らかにするうえで有用なものであると考えられる.
ISSN:0285-922X