慢性心不全および心室内伝導遅延症例における夜間睡眠時呼吸障害に対しての心室再同期療法の有効性についての検討

夜間睡眠時呼吸障害(nocturnal disordered breathing)は慢性心不全および左室収縮機能不全症例の多くに認められ, また高度の夜間睡眠時呼吸障害は心臓死の独立した危険因子であることが知られている. 今回われわれは心臓再同期療法(cardiac resynchronization therapy:以下CRT)が心室内伝導障害を有する慢性心不全症例の夜間睡眠時呼吸障害を改善させるか否かについて検討した. 対象は2001年6月から2002年1月に当院においてCRTを施行された連続8症例(男性7例, 女性1例)であり, CRT施行前と施行1週間後にポリソムノグラフィおよび心機能...

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Published in心臓 Vol. 38; no. 6; pp. 617 - 622
Main Authors 村松 崇, 吉田幸彦, 坪井直哉, 海野一雅, 嶋野祐之, 松下邦洋, 七里 守, 竹澤博人, 平山治雄, 因田恭也, 竹藤幹人, 近藤隆久, 室原豊明, 伊藤昭男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本心臓財団 15.06.2006
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Summary:夜間睡眠時呼吸障害(nocturnal disordered breathing)は慢性心不全および左室収縮機能不全症例の多くに認められ, また高度の夜間睡眠時呼吸障害は心臓死の独立した危険因子であることが知られている. 今回われわれは心臓再同期療法(cardiac resynchronization therapy:以下CRT)が心室内伝導障害を有する慢性心不全症例の夜間睡眠時呼吸障害を改善させるか否かについて検討した. 対象は2001年6月から2002年1月に当院においてCRTを施行された連続8症例(男性7例, 女性1例)であり, CRT施行前と施行1週間後にポリソムノグラフィおよび心機能評価目的でのカテーテル検査をそれぞれ施行し, 中枢性無呼吸あるいは閉塞性無呼吸の頻度の変化でCRTによる夜間睡眠時呼吸障害への効果, 影響を評価した. CRT施行前では左室内圧波形のpeak positive LVdP/dtは左室ペーシングで平均32.4%, 両室ペーシングで30.5%と有意に改善が認められた. 無呼吸係数はCRT施行前6.40/hに対し, CRT施行後は1.38/hと有意に減少し(p=0.026), 無呼吸-低換気係数もCRT施行前14.9/hに対し, CRT施行後は3.75/hと有意に減少した(p=0.005). また無呼吸の中でも中枢性無呼吸はCRT施行前4.61/hに対し, 施行後0.38/hと有意に減少した(p=0.048). 心室内伝導障害を有する慢性心不全症例において, CRTは夜間睡眠時呼吸障害および中枢性無呼吸の頻度を減少させた.
ISSN:0586-4488