股関節機能評価におけるサーモグラフィの意義
【目的】医用サーモグラフィでは体内の種々の情報が得られ, 非接触性, 非侵襲性であり, 近年臨床応用がさかんになっている. われわれも各種関節疾患の病態並びに臨床症状につき有意な知見を得ているが, 変股症における経時的推移と股関節機能評価との関連性より, リハビリテーション(以下, リハ)医学における意義につき検討する. 【対象と方法】保存療法中の片側変股症50症例, 手術(人工股関節置換術)および術後リハ施行後, 定期的に経過観察中の20症例を対象とした. 立位, 後面で殿部以下, 両下肢のサーモグラフィにて皮膚温分布を記録し, 独自改良のデータ処理法にて左右の殿筋領域の平均温度差を計測し,...
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 30; no. 11; p. 874 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
01.11.1993
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ISSN | 0034-351X |
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Summary: | 【目的】医用サーモグラフィでは体内の種々の情報が得られ, 非接触性, 非侵襲性であり, 近年臨床応用がさかんになっている. われわれも各種関節疾患の病態並びに臨床症状につき有意な知見を得ているが, 変股症における経時的推移と股関節機能評価との関連性より, リハビリテーション(以下, リハ)医学における意義につき検討する. 【対象と方法】保存療法中の片側変股症50症例, 手術(人工股関節置換術)および術後リハ施行後, 定期的に経過観察中の20症例を対象とした. 立位, 後面で殿部以下, 両下肢のサーモグラフィにて皮膚温分布を記録し, 独自改良のデータ処理法にて左右の殿筋領域の平均温度差を計測し, 同時に股評価点数を求めた. 【結果と考察】全例とも患側の殿筋領域の皮膚温低下が特徴的で, 左右の平均温度差は股評価点数ときわめて相関性が大であり, 同一症例では症状の進展につれ, 点数とともに皮膚温も低下し, 左右差は増大する. 術後リハが進み症状改善とともに, 術前の低温も改善し, 左右差は減少する. しかし日整会式股評価法では疼痛の点数割合が大なるため, 術後早期に点数は上昇するが, 皮膚温の改善速度は緩徐である. 一方骨盤部CT像で, 症状進行につれ増大する殿筋萎縮も術後改善速度は緩やかであり, したがって筋萎縮と疼痛の関与した局所循環不全が皮膚温変化の主因であると考えられる. 【結語】殿筋領域サーモグラフィは股関節関連筋の病態を反映し, リハ・プログラム作成などに際し, 有用な股関節機能補助評価となりえる. |
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ISSN: | 0034-351X |