ヒトCD4^+ helper/killerクローンの樹立とその性状

【目的】昨年の本学会にてcell sorterまたはimmunobeads等を用いて分離されたヒト末梢血CD4^+ T細胞は, 固相化抗CD3 monoclonal antibody(mAb)およびinter-leukin-2(IL-2)の刺激により強い増殖反応を示し, helperおよびkillerの両活性を示すこと, またbispecific抗体を利用することにより腫瘍細胞特異的にtargetingされ, 今後のhelper/killer療法に重要であること等を報告した. 今回このhelper/killer現象をcloneレベルで明確にすることを目的として, CD4^+ helper/ki...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 39; no. 2; p. 508
Main Authors 中村嘉彦, 城所正子, 金平奈諸美, 小林信昌, 武井美恵子, 荒平ゆかり, 野崎宏幸, 加藤俊一, 徳田裕, 岩沢恵美, 三富利夫, 垣生園子, 西村孝司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.05.1993
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Summary:【目的】昨年の本学会にてcell sorterまたはimmunobeads等を用いて分離されたヒト末梢血CD4^+ T細胞は, 固相化抗CD3 monoclonal antibody(mAb)およびinter-leukin-2(IL-2)の刺激により強い増殖反応を示し, helperおよびkillerの両活性を示すこと, またbispecific抗体を利用することにより腫瘍細胞特異的にtargetingされ, 今後のhelper/killer療法に重要であること等を報告した. 今回このhelper/killer現象をcloneレベルで明確にすることを目的として, CD4^+ helper/killer cloneを樹立し, その抗腫癌活性やヘルパー機能について検討したので報告する. 【方法】ヒト末梢血よりimmunobeads, Dynabeadsを利用してCD4^+ T細胞を分離, 固相化CD3 mAbおよびIL-2で刺激後, 増殖培養を行った. 増殖培養後のCD4^+ T細胞は1well当り0.5個の細胞密度にて限界希釈法により, cloningを行った. 得られたCD4^+ T細胞cloneはflow cytometory法により, 表面マーカーの解析を行なうと共に, OKT-3 mouse hybridoma細胞を標的細胞として, killer活性を測定, 同時に免疫染色法によりcytoplasmic perfolinの確認を行った. またPMA+Calcium Ionophore, A23187の刺激により得られた培養上清中の各種cytokineをEIA kit(R&D社製)により測定した. 【結果】限界希釈法により, 23個のCD4^+ cloneが得られたが, すべてのcloneは程度の差こそあれ全例においてperfolinが陽性であった. また, OKT-3 mouse hybridoma細胞を標的細胞とするkiller活性もほぼ全例において確認され, 20:1のE:T比にて最大で74%を示したが, perfolinの発現量との間には一定した関係は認められなかった. これらのCD4^+ cloneはPHA+A23187の刺激によりIL-2, IL-3, IL-4, IFN-γ, TNF-α, GM-CSFの各竃cytokineを産生し, bispecific抗体および標的細胞存在下においても各種cytokineを産生, 標的細胞を破壊した. しかし, そのcytokineの産生パターンより, マウス系におけるTh type(Th0, Th1, Th2 type等)への分類は困難であった. また, その表面マーカーの解析結果では, これらのCD4^+ cloneは前回のbulkでの結果とは異なり, CD45RAおよびCD45ROのdouble positiveを示した. 【結論】ヒトCD4^+ T細胞はcloneの解析結果より, cloneレベルにおいてhelperおよびkillerの両活性を示した. また, perfolin以外の因子, 特にIFN-γ等もその抗腫瘍活性発現において重要あることが示唆された.
ISSN:0546-1448