結核後膿胸関連リンパ腫との鑑別が問題となった気管支結核の1例

肺結核, 結核性胸膜炎の既往を有する67歳男性. 平成8年2月より血痰と労作時呼吸困難が持続し, 翌年5月大量喀血を認め入院. 微熱と軽度の炎症反応, ツ反中等度陽性を認め, 喀痰結核菌塗抹は陰性であった. 胸部画像上左肺に全周性に石灰化を伴い内部にLDAを有する占拠性病変を認め, 陳旧性結核性膿胸が疑われた. しかし占拠性病変は急速に増大. 気管支鏡では左主気管支入口部より全周性に易出血性の敷石状隆起性病変を認めた. 気管支生検で, 結核の診断を得た為INH, RFP, SM, PZAで抗結核療法を開始した. 治療開始後血痰は減少し, 占拠性病変は縮小, 粘膜所見も著明に改善した. なお胸膜...

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Published in気管支学 Vol. 20; no. 4; p. 367
Main Authors 田伏洋子, 鈴木ユリ, 岩井順子, 星穣, 福岡淳一, 福田泰樹, K.Y.Min, 大澤仲昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本気管支学会 25.05.1998
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Summary:肺結核, 結核性胸膜炎の既往を有する67歳男性. 平成8年2月より血痰と労作時呼吸困難が持続し, 翌年5月大量喀血を認め入院. 微熱と軽度の炎症反応, ツ反中等度陽性を認め, 喀痰結核菌塗抹は陰性であった. 胸部画像上左肺に全周性に石灰化を伴い内部にLDAを有する占拠性病変を認め, 陳旧性結核性膿胸が疑われた. しかし占拠性病変は急速に増大. 気管支鏡では左主気管支入口部より全周性に易出血性の敷石状隆起性病変を認めた. 気管支生検で, 結核の診断を得た為INH, RFP, SM, PZAで抗結核療法を開始した. 治療開始後血痰は減少し, 占拠性病変は縮小, 粘膜所見も著明に改善した. なお胸膜生検では類上皮肉芽腫を伴う凝固壊死物のみで明らかな異型細胞は認めなかった. 一般に陳旧性結核性膿胸腔が進行性に増大する場合, 胸膜悪性リンパ腫の鑑別が重要だが, 本例では抗結核療法により画像所見, 自覚症状ともに改善した為, 気管支結核と診断した.
ISSN:0287-2137