膜性腎症患者におけるHLA型と血清アミロイドA遺伝子多型の解析

「目的」 血清アミロイドA(SAA)蛋白は, CRPと同様に急性炎症反応性蛋白として知られている. SSA分子機能の詳細な解明は充分ではないが, 血小板あるいは顆粒球を介して免疫抑制作用があると想定されている. SAAは, SAA1(α, β, γ, δ), SAA2(α, β), SAA3(偽遺伝子), SAA4のファミリーから形成されている. この中でSAA1γ対立遺伝子は二次性アミロイドーシスにおいて増加が報告されている. 膜性腎症は腎係蹄壁に免疫複合体の沈着を認め, HLA-DR15と相関を示す疾患である. 同疾患患者においてSAA1遺伝子多型を解析し, HLAクラスII対立遺伝子頻度...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 47; no. 2; p. 230
Main Authors 関川秀義, 山本喜則, 吉田由美, 丸山千恵子, 桑田昇治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.04.2001
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:「目的」 血清アミロイドA(SAA)蛋白は, CRPと同様に急性炎症反応性蛋白として知られている. SSA分子機能の詳細な解明は充分ではないが, 血小板あるいは顆粒球を介して免疫抑制作用があると想定されている. SAAは, SAA1(α, β, γ, δ), SAA2(α, β), SAA3(偽遺伝子), SAA4のファミリーから形成されている. この中でSAA1γ対立遺伝子は二次性アミロイドーシスにおいて増加が報告されている. 膜性腎症は腎係蹄壁に免疫複合体の沈着を認め, HLA-DR15と相関を示す疾患である. 同疾患患者においてSAA1遺伝子多型を解析し, HLAクラスII対立遺伝子頻度との比較検討を行なった. 「方法」 膜性腎症患者30名, 対照群24名の末梢血白血球よりゲノムDNAを抽出. 多型を呈するSAA1遺伝第3および第4エクソンを含む遺伝子領域をPCR法にて特異的に増幅後, 遺伝子多型は制限酵素を用いたPCR-RFLP法にて解析した. HLAクラスII(DRB1, DQA1, DQB1)対立遺伝子も同様にPCR-RFLP法にて解析した. 「結果」 患者群におけるSAA1対立遺伝子頻度は, α33%(対照群29%), β30%(対照群36%), γ37%(対照群35%)であり, 対照群との間には有意差を認めなかった. また患者群でのDRB1^* 1501-DQB1^1 0602の頻度は60%(対照群18%)であり, 有意の増加を示した. 「結論」 膜性腎症患者においては, SAA1遺伝子多型は, HLAクラスII対立遺伝子頻度と比較すると発症への関与は少ないと考えられた. 今回解析の対象とした膜性腎症は, 日本人ではHLA-DR15(DR2), 白人ではHLA-DR17(DR3)と相関することが報告されている疾患である. SAA1遺伝子以外に, SAA2i遺伝子等の遺伝子多型も新たに報告されており, 解析を行なっていく予定である.
ISSN:0546-1448