尿中メタノール測定の検討

我々は微量生体試料中の揮発性有機化合物を簡易・高感度に測定できるシリンジHS-GC法を考案し, 産業現場での生物学的モニタリングへの応用を検討している. 今回は, 尿中MeOH測定について検討した. [方法]ガラスウール充填のガラスシリンジに尿試料30μlを浸透させ, 85℃で20分間気液平衡を行い, シリンジ内気相の一定量を直接GC装置に注入した. [結果]平衡温度上昇でMeOHの分析感度は著しく増大し, 85℃では60℃の約2.5倍となった. この時, 水蒸気圧上昇等による体積膨脹が顕著で, 気相体積は加温前(25℃)の約3倍となった. 検量線は, 標準水溶液, 添加尿とも良好な直線となり...

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Published in産業衛生学雑誌 Vol. 40; no. 2; p. 65
Main Authors 須那滋, 浅川冨美雪, 崔眞玉, 田所昌也, 北窓隆子, 忠津佐和代, 武田則昭, 實成文彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本産業衛生学会 20.03.1998
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ISSN1341-0725

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Summary:我々は微量生体試料中の揮発性有機化合物を簡易・高感度に測定できるシリンジHS-GC法を考案し, 産業現場での生物学的モニタリングへの応用を検討している. 今回は, 尿中MeOH測定について検討した. [方法]ガラスウール充填のガラスシリンジに尿試料30μlを浸透させ, 85℃で20分間気液平衡を行い, シリンジ内気相の一定量を直接GC装置に注入した. [結果]平衡温度上昇でMeOHの分析感度は著しく増大し, 85℃では60℃の約2.5倍となった. この時, 水蒸気圧上昇等による体積膨脹が顕著で, 気相体積は加温前(25℃)の約3倍となった. 検量線は, 標準水溶液, 添加尿とも良好な直線となり, 勾配は一致した. また, 高比重尿でのMeOH添加回収率はほぼ100%を示した. 添加尿での再現精度(C.V.%, n=5)は, 20μg/ml添加で1.1, 80μg/mlで4.2であった. [結論]バイアル瓶のHS-GC法は, 高温時, 平衡容器内外の圧力差や気相分取時の温度差が問題となるが, シリンジ法では, 平衡容器内は常圧に保て, 直接の気相をGC注入するため, 温度差も生じない. 本法は簡易・高感度な測定法と思われる,
ISSN:1341-0725