自己血輸血施行の現況
われわれは5年前にわが国における自己血輸血の現状について統計調査を行った. しかしその後, 医療上, また社会的な問題として自己血輸血の必要性がクローズアップされ, これを施行する施設も増加して来た. そこで, 1992年7月にアンケート方式の調査を行い, わが国における自己血輸血実施の現況を調査した. 対象としたのは病床数が300以上の全国1,131病院で回答率は59%であった. それによると1991年度に自己血輸血を施行した施設(医局単位)は581(87%)であった. アンケート発送数に対する施行率のもっとも高かったのは東海地区であった. 回答者の所属でもっとも高率を示したのは外科(30%...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 39; no. 2; p. 526 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
01.05.1993
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ISSN | 0546-1448 |
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Summary: | われわれは5年前にわが国における自己血輸血の現状について統計調査を行った. しかしその後, 医療上, また社会的な問題として自己血輸血の必要性がクローズアップされ, これを施行する施設も増加して来た. そこで, 1992年7月にアンケート方式の調査を行い, わが国における自己血輸血実施の現況を調査した. 対象としたのは病床数が300以上の全国1,131病院で回答率は59%であった. それによると1991年度に自己血輸血を施行した施設(医局単位)は581(87%)であった. アンケート発送数に対する施行率のもっとも高かったのは東海地区であった. 回答者の所属でもっとも高率を示したのは外科(30%), 整形外科(17%), 内科(15%), 麻酔科(11%)の順であって, 自己血輸血に対する関心度と関連しているように思われた. 一方地区別に見た手技分布では貯血式が北陸・越地区に高く, 希釈式は北海道, 東北地区に, 回収式は北海道, 東海, 近畿地区に高かった. 貯血式の実施に当たり, 凍結保存は4%であった. そして施行者は87%が当該科の医師, 看護婦で, 輸血部の関与は7%, 日赤センターは3%であった. また採血した血液の保管場所は各所に分散していて, 今後, この統一を計り血液の品質管理を十分に行うことが痛感された. そして10,665件が実施されていた. 希釈式は69%までが麻酔科医によって行われ, 最高採血量は800mlというものが多く, 1,677症例に施行されていた. 一方, 回収式は医療工学技師, もしくは当該科医師によって行われ, 術中のみならず, 術後も行われていた. 全体数は9,071症例であった. 今回の調査を1989年のそれに比較したところ, 自己血輸血の施行施設数は5倍となった. そして将来自己血輸血を施行する場合, 貯血式を選択する希望が72%を占め, 希釈式, 回収式はそれぞれ11, 17%であった. |
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ISSN: | 0546-1448 |