脊髄損傷後の対麻痺患者で踵部褥瘡から下腿切断に至った1例

症例は22歳男性. 平成10年11月14日交通事故によりTh12・L1脱臼骨折を受傷し, 対麻痺(L3残存Frankel C)が残存した. リハビリテーション訓練の結果, 両短下肢装具+片側ロフストランド杖で歩行自立となり退院, 元来の調理師として復職となった. しかし装具を使用しての立位作業が多いため右踵部に褥瘡を形成し, 同部の感染により骨髄炎を併発した. 部分的な骨掻爬などの治療も考えたが, インフォームドコンセントの結果, 5月23日右下腿切断術を施行した. 切断後, 右PTB義足+左短下肢装具+片側ロフストランド杖で歩行し, 切断前に比べ歩容の改善を認めた. 本症例の切断部は正常知覚...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 38; no. 1; p. 72
Main Authors 大林武治, 河津隆三, 松田康父美, 井手睦, 豊永敏宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.01.2001
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ISSN0034-351X

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Summary:症例は22歳男性. 平成10年11月14日交通事故によりTh12・L1脱臼骨折を受傷し, 対麻痺(L3残存Frankel C)が残存した. リハビリテーション訓練の結果, 両短下肢装具+片側ロフストランド杖で歩行自立となり退院, 元来の調理師として復職となった. しかし装具を使用しての立位作業が多いため右踵部に褥瘡を形成し, 同部の感染により骨髄炎を併発した. 部分的な骨掻爬などの治療も考えたが, インフォームドコンセントの結果, 5月23日右下腿切断術を施行した. 切断後, 右PTB義足+左短下肢装具+片側ロフストランド杖で歩行し, 切断前に比べ歩容の改善を認めた. 本症例の切断部は正常知覚残存部であり, 特に深部知覚の入力は健常切断者と同様となったこと, 義足による足関節のコントロール改善が歩容の改善に至った主因ではないかと考えた.
ISSN:0034-351X