抑制矯正で顎矯正手術を避けることが出来なかった下顎非対称を伴う骨格性下顎前突症例

「緒言」不正咬合の予防には, 抑制矯正が重要である. 抑制矯正とは, 乳歯列期から, 混合歯列前期において, すでに認められる不正咬合の原因の推察が可能で, その原因の除去により, 顎顔面口腔環境を整え, 顎顔面および歯に関する不正を最小限に食い止めようとするものである1). 本症例は, 下顎骨の左方偏位を伴う成長期下顎前突症で, 抑制矯正を行ったにもかかわらず思春期成長に伴い顔貌の左右非対称が著明となった. その結果, 成長終了後に外科的矯正治療を選択せざるを得なかった. 顎矯正手術は, 偏位側に下顎枝垂直骨切り術(Intraoral vertical ramus osteotomy;以下I...

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Published in日本顎変形症学会雑誌 Vol. 20; no. 1; pp. 30 - 41
Main Authors 中納治久, 高津涼子, 大嶋貴子, 真鍋真人, 新谷悟, 槇宏太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本顎変形症学会 15.04.2010
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ISSN0916-7048

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Summary:「緒言」不正咬合の予防には, 抑制矯正が重要である. 抑制矯正とは, 乳歯列期から, 混合歯列前期において, すでに認められる不正咬合の原因の推察が可能で, その原因の除去により, 顎顔面口腔環境を整え, 顎顔面および歯に関する不正を最小限に食い止めようとするものである1). 本症例は, 下顎骨の左方偏位を伴う成長期下顎前突症で, 抑制矯正を行ったにもかかわらず思春期成長に伴い顔貌の左右非対称が著明となった. その結果, 成長終了後に外科的矯正治療を選択せざるを得なかった. 顎矯正手術は, 偏位側に下顎枝垂直骨切り術(Intraoral vertical ramus osteotomy;以下IVROと略す), 非偏位側に下顎枝矢状分割術 (Sagittal split ramus osteotomy;以下SSROと略す)を行い良好な結果が得られたが, 成長期における矯正治療の効果について, 若干の考察を加えて報告する. 「症例」患者:7歳8か月, 女児 初診:1991年4月 主訴:受け口を治したい
ISSN:0916-7048