(10)当院における弓部大動脈血管置換術に対する脳分離体外循環法
【はじめに】当院において胸部大血管置換術は, 上行大動脈単独置換術ならばSVCの逆行性送血を行うが弓部大動脈を絡んだ血管置換術においては, 脳分離体外循環を行う. 岐阜大学病院独自の弓部分枝血管を作成しそれに対応した脳分離送血を行うのでここに紹介する. 【方法】胸部大血管置換術は, 緊急手術が多く当院においても緊急手術のほとんどが大血管置換である. 手術方法は, 弓部血管置換を必要と判断された場合は, 手術開始と同時に人工血管12mmと8mmにて岐阜大学独自の弓部分枝を作成する. 正中切開にて手術開始. 送・脱血は, 病状によるが腋窩とFA送血または, 上行送血. 脱血は, 上下大静脈による2...
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Published in | 体外循環技術 Vol. 34; no. 4; pp. 328 - 329 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本体外循環技術医学会
01.12.2007
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ISSN | 0912-2664 |
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Summary: | 【はじめに】当院において胸部大血管置換術は, 上行大動脈単独置換術ならばSVCの逆行性送血を行うが弓部大動脈を絡んだ血管置換術においては, 脳分離体外循環を行う. 岐阜大学病院独自の弓部分枝血管を作成しそれに対応した脳分離送血を行うのでここに紹介する. 【方法】胸部大血管置換術は, 緊急手術が多く当院においても緊急手術のほとんどが大血管置換である. 手術方法は, 弓部血管置換を必要と判断された場合は, 手術開始と同時に人工血管12mmと8mmにて岐阜大学独自の弓部分枝を作成する. 正中切開にて手術開始. 送・脱血は, 病状によるが腋窩とFA送血または, 上行送血. 脱血は, 上下大静脈による2本脱血を行う. 完全体外循環開始後, 直腸温23℃から20℃まで冷却し循環停止. 心筋保護は逆行性. 弓部切開後, 3分枝切開. 右椀頭動脈15Fr MERAバルーン付カニューレ. 総頚動脈, 左鎖骨下動脈12FrMERAバルーン付カニューレを挿入し脳分離ポンプにて20℃, 800mL/minにて脳分離を開始する. 脳分離監視モニタとしてINVOSを脳分離開始前の値を指標とする. 一分枝管ぐるぐる巻きにて下行大動脈の吻合. 吻合終了後, メインポンプにて下肢送血開始. 直腸温25℃~27℃程度まで復温開始. 弓部分枝再建開始, 脳分離回路に付属してある熱交換器にて20℃を保ち左鎖骨下動脈の再建終了後, 左鎖骨下送血に使用していたカニューレを独自に作成したバルーン専用分枝チューブに挿入し左鎖骨下への送血再開. 同じ手順で総頚動脈, 右碗頭を再建し専用分技チューブに挿入し送血開始. その後, 弓部分枝管と人工血管本管の吻合後, 脳分離終了. 人工血管本管と大動脈基部の吻合を終了後, Hot Shotにて心拍再開, 復温再開. 【結果考察】岐阜大学特有の弓部分枝管を作成し行っている. 脳分離には右碗頭動脈と総頚動脈と左鎖骨下動脈にてFrサイズの違うカニューレを使用しているため送血量がポンプ側からは制御できない. 術者側でチューブ鉗子にて送血チューブを半閉塞するなど煩雑な調節を余儀なくされたが, 新しく作成したバルーン専用分枝チューブを用いることで脳分離に使用していたバルーンカニューレを容易に挿入し送血が開始できるため術者も煩雑な操作がなくなった. 【結語】岐阜大学独自の分枝血管を作成し用いるため脳分離体外循環の切り替えを容易にする必要性があった. バルーン専用分枝チューブを用いることで医師から依頼されていた煩雑さが解決された. また, バルーン付カニューレがどのメーカーに変わっても対応できる. |
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ISSN: | 0912-2664 |