転移性脊椎腫瘍と鑑別が困難であった化膿性脊椎炎の1症例

はじめに 脊椎の骨破壊性病変において,転移性脊椎腫瘍と化膿性脊椎炎,結核性脊椎炎は鑑別すべき疾患に挙げられる.転移性脊椎腫瘍では,通常1椎体のみの罹患が多く,椎間板腔が温存され,脊椎後方要素への浸潤が多くの症例で認められる.一方,化膿性脊椎炎では椎間板を挟む2椎体以上の罹患が多く,罹患椎体上下の椎間板腔の狭小化や椎体終板の不整像が特徴的であり,脊椎後方要素に病変が及ぶことは稀である.結核性脊椎炎では,椎体破壊の程度が激しく,膿瘍陰影,腐骨陰影,椎体空洞陰影が特徴的とされる.今回我々は,広範な骨破壊が脊椎後方要素にまで及び,術前に転移性脊椎腫瘍が疑われ,病理所見及び臨床経過から化膿性脊椎炎の診断...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 51; no. 2; pp. 378 - 380
Main Authors 原 克利, 高下光弘, 松本博文, 田北親寛, 内納正一, 徳丸進一, 津村 弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.03.2002
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Summary:はじめに 脊椎の骨破壊性病変において,転移性脊椎腫瘍と化膿性脊椎炎,結核性脊椎炎は鑑別すべき疾患に挙げられる.転移性脊椎腫瘍では,通常1椎体のみの罹患が多く,椎間板腔が温存され,脊椎後方要素への浸潤が多くの症例で認められる.一方,化膿性脊椎炎では椎間板を挟む2椎体以上の罹患が多く,罹患椎体上下の椎間板腔の狭小化や椎体終板の不整像が特徴的であり,脊椎後方要素に病変が及ぶことは稀である.結核性脊椎炎では,椎体破壊の程度が激しく,膿瘍陰影,腐骨陰影,椎体空洞陰影が特徴的とされる.今回我々は,広範な骨破壊が脊椎後方要素にまで及び,術前に転移性脊椎腫瘍が疑われ,病理所見及び臨床経過から化膿性脊椎炎の診断に至った1症例を経験したので報告する. 症例 (症例)67歳,男性(主訴)背部痛(既往歴,家族歴)特記すべきことなし(現病歴)平成7年10月,誘因なく背部の激痛が出現し,起立動作が不可能となり,近医を受診した.単純X線像にて第11胸椎の広範な骨融解像を認めた.
ISSN:0037-1033