末梢血幹細胞採取不足例の検討

【目的】近年, 末梢血幹細胞を用いた移植治療が盛んに行われつつある. 当院では同種末梢血幹細胞移植を行う際には, 患者体重当たり4×10^6 /kgのCD34陽性細胞の採取を目標としている. 今回, 我々は同種血液幹細胞移植のため末梢血幹細胞採取を行った10症例の採取効率について検討を行った. 【対象, 方法】白血病患者(AML5例, CML3例, ALL2例)の健常ドナーにG-CSFを5日間10μg/kg/日で投与し投与4, 5日目にCS-3000を用いて末梢血幹細胞採取を行った. ドナーは患者同胞である男性, 女性各5人で年齢は12~53才(av. 35才)であった. 【結果】全例において...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 44; no. 2; p. 160
Main Authors 小林直樹, 中川学, 大西俊介, 小笠原正浩, 木山善雄, 直原徹, 比嘉敏夫, 笠井正晴
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.04.1998
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ISSN0546-1448

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Summary:【目的】近年, 末梢血幹細胞を用いた移植治療が盛んに行われつつある. 当院では同種末梢血幹細胞移植を行う際には, 患者体重当たり4×10^6 /kgのCD34陽性細胞の採取を目標としている. 今回, 我々は同種血液幹細胞移植のため末梢血幹細胞採取を行った10症例の採取効率について検討を行った. 【対象, 方法】白血病患者(AML5例, CML3例, ALL2例)の健常ドナーにG-CSFを5日間10μg/kg/日で投与し投与4, 5日目にCS-3000を用いて末梢血幹細胞採取を行った. ドナーは患者同胞である男性, 女性各5人で年齢は12~53才(av. 35才)であった. 【結果】全例においてG-CSF投与, アフェレーシスによる重篤な有害事象は認めなかった. 2日間で16~301iter(av. 20. 1 liter)のアフェレーシスを行いCD34陽性細胞採取量は患者体重当たり2. 4~11. 3×10^6 /kg(av. 6. 4×10^6 /kg)であった. 10例中8例で目標のCD34陽性細胞の採取が可能であったが, 2例では細胞数が目標値より低値(2. 4, 3. 4X10^6 /kg)で, 1例では骨髄採取を追加して移植が行われた. 【まとめ】現在, 同種末梢血幹細胞移植において移植提供者の選択に関する明確な基準は確立していない. 当院での採取不足例はいずれも女性で1例は最高齢53才で, もう1例は38才であった. 採取効率に関するドナー側の要因について検討し報告する.
ISSN:0546-1448