ガスモニターから代謝を推定する
現在, 種々の代謝モニターが市販されているがいずれも高価であり, 再呼吸式の麻酔用ベンチレータへの接続では正確な測定が困難である. 通常の麻酔用ガスモニターの測定項目から麻酔中の代謝の変化が推定できないだろうか? 〔方法〕長時間の下腹部手術を受けた9症例を対象とした. 麻酔はプロホフォール+持続硬膜外麻酔で維持し, 術中の換気はベンチレータServo900Cを使用して一定に固定した. 麻酔中循環動態の変化に伴って代謝が変化する間に約2時間にわたり代謝モニターAMIS200SPを使用し5分間隔で, 吸気-呼気終末O_2 濃度較差(F_I-ET O_2 D), 呼気終末CO_2 濃度(F_ET C...
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Published in | 蘇生 Vol. 17; no. 3; p. 187 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本蘇生学会
01.09.1998
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0288-4348 |
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Summary: | 現在, 種々の代謝モニターが市販されているがいずれも高価であり, 再呼吸式の麻酔用ベンチレータへの接続では正確な測定が困難である. 通常の麻酔用ガスモニターの測定項目から麻酔中の代謝の変化が推定できないだろうか? 〔方法〕長時間の下腹部手術を受けた9症例を対象とした. 麻酔はプロホフォール+持続硬膜外麻酔で維持し, 術中の換気はベンチレータServo900Cを使用して一定に固定した. 麻酔中循環動態の変化に伴って代謝が変化する間に約2時間にわたり代謝モニターAMIS200SPを使用し5分間隔で, 吸気-呼気終末O_2 濃度較差(F_I-ET O_2 D), 呼気終末CO_2 濃度(F_ET CO_2 ), 全身酸素摂取(VO_2 ), 炭酸ガス排泄(VCO_2 ), 呼吸商(RQ), 分時換気量(V_E ), 肺胞換気量(V_A ), 死腔率(V_D /V_T )を測定した. F_I-ET O_2 DとF_ET CO_2 がどれだけVO_2 やVCO_2 と相関するか線状回帰分析を使用して検討した. 〔結果〕各症例においてF_I-ET O_2 DとVO_2 はよく相関し, F_ET CO_2 とVCO_2 もよく相関した. 多人数プロットでも症例によりばらつきがでるものの, 同様の関係が見られたばらつきの原因を探るために他の因子との関係を検討したところ, F_I-ET O_2 DとF_ET CO_2 はいずれもV_A と負に相関する関係が見られ, 多人数プロットにおいてもF_I-ET O_2 D×V_A , F_ET CO_2 ×V_A はそれぞれVO_2 , VCO_2 と高度の相関を示した(r > 0.9). 〔考察〕肺胞換気量が一定なら, F_I-ET O_2 Dの変化はVO_2 の変化を反映し, F_ET CO_2 の変化はVCO_2 の変化を反映する. また, F_ET CO_2 とF_I-ET O_2 Dの比はRQにほぼ一致する. 例えばDatexのUltimaなどの麻酔ガスモニターではF_I-ET O_2 DとF_ET CO_2 を一呼吸毎に表示しており, これらの変化を見ることで麻酔中の代謝状態の変化を推定することが可能と思われた. 〔結語〕肺胞換気量が一定であれば, 吸気-呼気終末O_2 濃度較差は酸素摂取量に比例し, 呼気終末CO_2 濃度は炭酸ガス排泄量に比例する. |
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ISSN: | 0288-4348 |