脳卒中リハビリテーション患者における化粧の心理, 行動への影響

「目的」女性脳卒中患者において, 化粧が患者の情動や自己イメージ, 行動に及ぼす影響について検討した. 「対象と方法」対象は, 入院後2週以上経過した女性脳卒中患者9例(62.4±10.5歳)で, 化粧は, 8例は自力で可能, 1例は介助を要した. 評価には, 心理面はY-G性格検査(以下, Y-G)からの抜粋(一般的活動性, 思考的外向, 社会的外向), 自己のイメージおよび未来イメージに関するSelf Rating Scale(以下, SRS), SDSを用い, 行動変化については, 直接観察法による生活時間調査を用いた. 評価は, 化粧前, 化粧後1週目, 化粧後4週目に行い, 化粧後4...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 34; no. 12; pp. 928 - 929
Main Authors 宇田川素子, 緒方敦子, 芦谷とし子, 田畑節子, 川平和美, 田中信行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.12.1997
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ISSN0034-351X

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Summary:「目的」女性脳卒中患者において, 化粧が患者の情動や自己イメージ, 行動に及ぼす影響について検討した. 「対象と方法」対象は, 入院後2週以上経過した女性脳卒中患者9例(62.4±10.5歳)で, 化粧は, 8例は自力で可能, 1例は介助を要した. 評価には, 心理面はY-G性格検査(以下, Y-G)からの抜粋(一般的活動性, 思考的外向, 社会的外向), 自己のイメージおよび未来イメージに関するSelf Rating Scale(以下, SRS), SDSを用い, 行動変化については, 直接観察法による生活時間調査を用いた. 評価は, 化粧前, 化粧後1週目, 化粧後4週目に行い, 化粧後4週目以降には, 対象者に化粧についてのアンケートを行った. 「結果」心理面ではY-Gテスト項目の一般的活動性が, 化粧後1週目に有意な上昇を示したが, 思考的外向, 社会的外向では有意な変化を認めなかった. SRS,SDSでは有意な変化は認められなかった. 行動面では, 化粧後1週目および4週目で整容, 交際時間の増加傾向と休養時間の減少傾向を認めた. 「考察」障害レベルが変わらない化粧後1週目において心理, 行動面の改善を認め, 4週目においても, 行動面の改善を認めた. 化粧で心理, 行動面の全てが改善された訳ではないが, 一般的活動性や交際時間の増加, 休養時間の減少等を認め, 今後さらに症例を増やして検討したい.
ISSN:0034-351X