興味ある不整脈と臨床経過を示した拡張型心筋症の1例

症例は74歳女性. H10胸水貯留にて初回入院となり心臓カテーテル検査, および心筋生検にて拡張型心筋症と診断. 心胸郭比69%, 心エコー上EF18%, BNP1,700と著明な低心機能を認めたが, 利尿剤, 血管拡張薬, ACE阻害薬に加えジゴキシンの併用により心不全は改善した. H12に持続性心室頻拍症(以下SVT)が発現し緊急入院となり, リドカイン100mg静注にてVTは停止したが低心機能を伴っていたため, アミオダロンを200mg/dayより開始した. なお, 100mg/dayを維持量とした. 退院後重篤な副作用は認めないものの甲状腺機能の低下や食欲の低下, また心不全の再増悪を...

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Published inJournal of Nippon Medical School Vol. 69; no. 2; p. 209
Main Authors 高橋直人, 竹永清人, 網谷賢一, 山口朋禎, 小野卓哉, 内田高浩, 櫛方美文, 宗像一雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 15.04.2002
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ISSN1345-4676

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Summary:症例は74歳女性. H10胸水貯留にて初回入院となり心臓カテーテル検査, および心筋生検にて拡張型心筋症と診断. 心胸郭比69%, 心エコー上EF18%, BNP1,700と著明な低心機能を認めたが, 利尿剤, 血管拡張薬, ACE阻害薬に加えジゴキシンの併用により心不全は改善した. H12に持続性心室頻拍症(以下SVT)が発現し緊急入院となり, リドカイン100mg静注にてVTは停止したが低心機能を伴っていたため, アミオダロンを200mg/dayより開始した. なお, 100mg/dayを維持量とした. 退院後重篤な副作用は認めないものの甲状腺機能の低下や食欲の低下, また心不全の再増悪を認めた. その後Holter心電図上VTを認めず患者の強い希望もあったためアミオダロンを中心とした. 今回, 心不全が再増悪しHolter心電図にて約30分持続するSVTを認め6回目入院となり, 植え込み式除細動器を考慮したが患者の同意が得られなかったためアミオダロンを再開した. 再び200mg/dayを開始量としたところ第10病日に著明な徐脈を認め, めまい, 悪心嘔吐が出現した. 血圧も70台に低下しDOAを開始したが徐脈は改善せず体外式ペーシングカテーテルを挿入した. その後, 血圧はやや上昇し症状も改善したが尿量の減少に伴い心不全は増悪した. 更に心房粗動, 心房細動を併発したためジゴキシンの再投与を行ったところ洞調律となり同時に利尿もつき改善傾向となった. 今回多彩な不整脈を併発した拡張型心筋症症例を経験したので報告する.
ISSN:1345-4676