非ホジキンリンパ腫に対する予後因子に基づいたPBSCT併用治療プロトコールと治療成績

目的:第三世代の化学療法やGCSFの併用による非ホジキンリンパ腫(NHL)の治療成績の向上には限界があり, 飛躍的に化学療法のdose intensityを高めるための自家末梢血幹細胞移植(PBSCT)に期待がもたれる. 当科では, 予後因子に基づいたPBSCT併用治療プロトコールを作成し, 13例の予後不良症例にPBSCTを施行したので報告する. 対象と方法:Coiffierらの提唱した予後予測モデル(LDH高値, bulky massの存在, 節外性病変2つ以上, stage III/IVの4因子に基づく)によって選択した初回発症例7例と, 寛解導入不応例/再発例6例にPBSCTを施行した...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 42; no. 6; p. 318
Main Authors 垂水隆志, 澤田賢一, 片桐江理, 西尾充史, 深田嘉一, 小泉和輝, 能登谷京, 安河内太郎, 小池隆夫, 佐藤典宏, 池淵研二, 関口定美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.12.1996
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ISSN0546-1448

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Summary:目的:第三世代の化学療法やGCSFの併用による非ホジキンリンパ腫(NHL)の治療成績の向上には限界があり, 飛躍的に化学療法のdose intensityを高めるための自家末梢血幹細胞移植(PBSCT)に期待がもたれる. 当科では, 予後因子に基づいたPBSCT併用治療プロトコールを作成し, 13例の予後不良症例にPBSCTを施行したので報告する. 対象と方法:Coiffierらの提唱した予後予測モデル(LDH高値, bulky massの存在, 節外性病変2つ以上, stage III/IVの4因子に基づく)によって選択した初回発症例7例と, 寛解導入不応例/再発例6例にPBSCTを施行した. プロトコールの骨子は, (1)寛解導入療法後のG-CSF投与で十分量の幹細胞採取を可能としたこと, (2)最大治療効果をあげるため治療の反応性に基づいて寛解導入療法を変更すること, (3)PBSCT施行前に可能な限り完全寛解に近づけることである. 結果:初回発症例では移植前にCRとなった2例を含め6例(86%)がCRとなり平均観察期間11.2ヵ月で全例がCRを維持している. 不応例/再発例は3例(50%)がCRとなったが1例は6ヵ月後に再発した. 致死的合併症としてdouble PBSCTを行った再発例に感染症による死亡があった. 考察:初回発症例に対しては有用と考えられたが, 今後症例を重ね長期観察を行う必要がある. 不応例/再発例に関しては, より早い段階でのPBSCTの考慮や前処置などにさらなる工夫が必要と考えられた.
ISSN:0546-1448