顎・顔面外科領域における緊急手術症例の全身麻酔管理

顎・顔面外科領域における緊急手術症例では, 患部・手術野と麻酔領域の気道とが一致するために, 緊急手術症例の麻酔管理に関わる基本的注意事項に加え, 患者への特別な配慮や麻酔業務を行う上での特殊な工夫が講じられなければならないと考えられる. 今回我々は過去10年間に当科で麻酔管理を行った緊急手術症例のうち, この領域で比較的重度(外傷性ショック)と思われた14症例について検討を加えたのて報告する. 対象は, 比較的重度(外傷性ショック)と思われた14症例とした. 年齢は, 7歳~52歳まで, 男:女=10:4で, 妊婦も含まれた. 麻酔導入は, Droperidol, Pentazocineを緩...

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Published in蘇生 Vol. 16; no. 3; p. 221
Main Authors 山田守正, 三宅聰行, 貝沼関志, 浦野博秀, 山本良実, 稲生光春, 黒田俊久, 新井豊久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本蘇生学会 01.09.1997
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ISSN0288-4348

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Summary:顎・顔面外科領域における緊急手術症例では, 患部・手術野と麻酔領域の気道とが一致するために, 緊急手術症例の麻酔管理に関わる基本的注意事項に加え, 患者への特別な配慮や麻酔業務を行う上での特殊な工夫が講じられなければならないと考えられる. 今回我々は過去10年間に当科で麻酔管理を行った緊急手術症例のうち, この領域で比較的重度(外傷性ショック)と思われた14症例について検討を加えたのて報告する. 対象は, 比較的重度(外傷性ショック)と思われた14症例とした. 年齢は, 7歳~52歳まで, 男:女=10:4で, 妊婦も含まれた. 麻酔導入は, Droperidol, Pentazocineを緩徐に静注し, 経皮的に輪状甲状靭帯より4%キシロカインを喉頭部に注入噴霧後, 胃管と気管内チューブ・カフとを利用した新しい杉浦・三宅法による挿管や盲目的, あるいは, ファイバー・スコープの活用, さらには, crush inductionによる挿管, 気管切開を施行した後などそれぞれ麻酔器に接続して, 麻酔導入を行った. そして, GOEn, GOI, GOSて維持し, 筋弛緩薬はvecuronium bromideと低濃度維持的硬膜外麻酔(頸部, 胸部, 腰部)を併用した. 原因は, 交通傷害が最も多く, その他高所落下, 馬に蹴られ受傷した症例などであった. 手術時間は, 4~14時間と比較的長く, 整形外科, 口腔外科, 一般外科, 形成外科, 眼科などの合同手術となることが多かった. 時に, 症例によっては, 受傷後数時間で緊急手術となることがあり, 極度の貧血, アシドーシス, 電解質のアンバランス, 循環血液量の減少などを充分に改善することなく, 麻酔導入, 手術を行わざるをえなくなり, その急変への対応と処置に対しては, 慎重に行うべきであると考えられた.
ISSN:0288-4348