北海道内における輸血感染症の調査結果

目的:医療機関における輸血感染症の疑い(自発報告例), 及びウインドウ期の献血者血液が輸血された患者の遡及調査結果について報告する. 方法:1997年11月~2000年3月の間の自発報告例(HBV4例, HCV2例)と原料血漿の500プール核酸増幅検査(NAT)によって検出されたウインドウ期のHBV陽性献血者6例の血液が輸血された患者8例を調査対象とした. 輸血との因果関係は保管検体によるNAT, 血清学的ウイルスマーカー, ウイルス量, 塩基配列の解析などにより評価した. 結果:自発報告の6例中1例の患者に輸血した献血者の保管検体からHBV-DNAが検出されたが, 他は輸血との因果関係を見出...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 46; no. 6; pp. 569 - 570
Main Authors 葛間一裕, 辰川美波, 宮崎孔, 酒谷真一, 伊原弘美, 佐藤進一郎, 長谷川秀弥, 山本定光, 加藤俊明, 池田久實
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.12.2000
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ISSN0546-1448

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Summary:目的:医療機関における輸血感染症の疑い(自発報告例), 及びウインドウ期の献血者血液が輸血された患者の遡及調査結果について報告する. 方法:1997年11月~2000年3月の間の自発報告例(HBV4例, HCV2例)と原料血漿の500プール核酸増幅検査(NAT)によって検出されたウインドウ期のHBV陽性献血者6例の血液が輸血された患者8例を調査対象とした. 輸血との因果関係は保管検体によるNAT, 血清学的ウイルスマーカー, ウイルス量, 塩基配列の解析などにより評価した. 結果:自発報告の6例中1例の患者に輸血した献血者の保管検体からHBV-DNAが検出されたが, 他は輸血との因果関係を見出せなかった. またウインドウ期のHBV陽性血液が輸血された患者8例の遡及調査でHBV感染が確認されたのは1例のみであった. 4例は原疾患が原因で死亡しており, 感染は不明であった. 2例は輸血前よりHBs抗体が陽性, 1例はHBs抗体が陰性のまま持続したが, 3例ともHBV-DNAは陰性のまま経過し, HBVの感染は認められなかった. 結論:今年2月から50プールNATが開始され, 感染リスクは更に減少することが期待されるが, 50プールNATにも検出限界が存在するため, 今後も各医療機関における輸血感染症のモニタリングは重要と考える.
ISSN:0546-1448