感染人工股関節抜去術後における後療法および機能評価

われわれは, Charnley式人工股関節置換術後, 深部感染のため抜去のやむなきに至った16例17関節に対し機能評価を行った. またあわせて術後後療法を紹介する. 日整会変股症判定基準(以下, JOAscore)を用いて検討した機能評価では, 術前平均28.9点が術後73.9点と向上した. また, 歩行補助具の使用状況では, 両杖歩行が19%, 片杖歩行が69%, 杖なしが6%であった. 歩行不能は1例であった. 歩行可能な症例の全例にTrenderenburg歩行を認めた. 脚長差は平均4.5 cmであり, 基本的には補高靴で矯正されるが, 25%で補高靴を使用していなかった. 術後後療法...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 32; no. 12; pp. 929 - 930
Main Authors 内川健, 小林敏彦, 島崎幾夫, 高柳聡, 田中宏志, 宇田川英一, 荻原哲夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.12.1995
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ISSN0034-351X

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Summary:われわれは, Charnley式人工股関節置換術後, 深部感染のため抜去のやむなきに至った16例17関節に対し機能評価を行った. またあわせて術後後療法を紹介する. 日整会変股症判定基準(以下, JOAscore)を用いて検討した機能評価では, 術前平均28.9点が術後73.9点と向上した. また, 歩行補助具の使用状況では, 両杖歩行が19%, 片杖歩行が69%, 杖なしが6%であった. 歩行不能は1例であった. 歩行可能な症例の全例にTrenderenburg歩行を認めた. 脚長差は平均4.5 cmであり, 基本的には補高靴で矯正されるが, 25%で補高靴を使用していなかった. 術後後療法は, 術直後より持続介達牽引を開始し, 6週間施行する. 術後3週目より介助および自動運動開始. 6週目より両松葉杖にて非荷重歩行開始. 8週目より長下肢坐骨免荷装具装着下, 平行棒内歩行練習を開始し, 歩行安定したら, 2本のロフストランド杖歩行開始する. 16週以降より徐々に免荷度を減らし, 疼痛のないことを確認し, 装具中止としている. 平均装具使用期間は6カ月, 平均入院期間は5.7カ月であった. 感染人工股関節に対するサルベージとしては, 抜去術を行っているが, 後療法を慎重に行うことにより, その悲惨さを軽減させることは可能である.
ISSN:0034-351X