産業保健事業における咬合状態(歯の噛み合わせ)健診の有用性について

産業保健事業における咬合状態健診の有用性を調べるため, 作業者の愁訴発現と噛み合わせとの関係を検討した. 対象は2事業所の男性153人, 女性56人で, 男女別の年齢分布はほぼ同じであった. 方法は, 愁訴別にその有無に対する問診を行い, 咬合力測定紙で咬合力の左右差(咬合力バランス)を求めた. その差が15%以内であれば咬合バランス良群, 15%より大きければ咬合バランス不良群とした. 男女とも約2/3が咬合バランス良群, 約1/3が咬合バランス不良群であった. 咬合バランス良群に比べ咬合バランス不良群で愁訴率は高くなり, 特に頭痛(p<0.01), 肩こり・腰痛(p<0.05)...

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Published in産業衛生学雑誌 Vol. 42; no. 2; p. 69
Main Authors 川村匡宏, 藤井由希, 木村均, 蔭山充, 圓藤吟史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本産業衛生学会 20.03.2000
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ISSN1341-0725

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Summary:産業保健事業における咬合状態健診の有用性を調べるため, 作業者の愁訴発現と噛み合わせとの関係を検討した. 対象は2事業所の男性153人, 女性56人で, 男女別の年齢分布はほぼ同じであった. 方法は, 愁訴別にその有無に対する問診を行い, 咬合力測定紙で咬合力の左右差(咬合力バランス)を求めた. その差が15%以内であれば咬合バランス良群, 15%より大きければ咬合バランス不良群とした. 男女とも約2/3が咬合バランス良群, 約1/3が咬合バランス不良群であった. 咬合バランス良群に比べ咬合バランス不良群で愁訴率は高くなり, 特に頭痛(p<0.01), 肩こり・腰痛(p<0.05)では有意差があった. 以上の結果から, 咬合力バランスの良し悪しは職場における愁訴発現の一要因であると考えられ, 健診で咬合力バランスを視野に入れることは愁訴予防に有用であると思われた. さらに, 産業医などによる咬合状態に対する適切な助言や指導も大切であると思われる.
ISSN:1341-0725