内視鏡所見からみた気管分岐部再建術後の吻合部創傷治癒について

〔目的〕気管分岐部再建後の吻合部創傷治癒について内視鏡的に検討した. 〔対象・方法〕気管分岐部切除9例の診断は肺癌6, 気管腫瘍3例で, 再建方法はMontage型5, Barclay型3, 二連銃型1例, 吻合部被覆は有茎大網4, 旁心膜脂肪3, 胸腺, 臓側胸膜各1例であった. 内視鏡所見は川原の分類に準じ, M-O, 吻合部および末梢に変化のないもの. M-1, 軽度の浮腫, 発赤. M-2, 糜燗あるいは色調の変化, M-3広範な糜燗と潰瘍形成. M-4, 変性壊死, に分け, M-0, M-1を治癒状態とした. 〔結果〕術後1, 2, 4, 5, 7週目に各6例が検討できた. 3例は...

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Published in気管支学 Vol. 16; no. 3; p. 243
Main Authors 赤嶺晋治, 川原克信, 中村昭博, 高橋孝郎, 井手誠一郎, 佐々木神文, 新宮浩, 松尾聡, 辻博治, 田川泰, 綾部公聴, 富田正雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本気管支学会 01.05.1994
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ISSN0287-2137

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Summary:〔目的〕気管分岐部再建後の吻合部創傷治癒について内視鏡的に検討した. 〔対象・方法〕気管分岐部切除9例の診断は肺癌6, 気管腫瘍3例で, 再建方法はMontage型5, Barclay型3, 二連銃型1例, 吻合部被覆は有茎大網4, 旁心膜脂肪3, 胸腺, 臓側胸膜各1例であった. 内視鏡所見は川原の分類に準じ, M-O, 吻合部および末梢に変化のないもの. M-1, 軽度の浮腫, 発赤. M-2, 糜燗あるいは色調の変化, M-3広範な糜燗と潰瘍形成. M-4, 変性壊死, に分け, M-0, M-1を治癒状態とした. 〔結果〕術後1, 2, 4, 5, 7週目に各6例が検討できた. 3例は吻合部合併症なく術後5から7週でM-1となった. 術後1週目でM-2の6例のうち2例は2週でM-4, 7週でM-2となり, 後に1例はmalasia状態からT-tube, metalic stentを必要とした. 残り4例の内1例は7週目でもM-3で後に肉芽腫による狭窄となり, metalic stentを必要とした. 他の3例は6から7週でM-1となったが, 1例は瘢痕性狭窄からsilicon stentを挿入し, 1例はT-tubeを必要とした. 〔結語〕悪性疾患の分岐部再建は広範な切除とリンパ節郭清により吻合部に過大な侵襲が加わり, 治療状態となるには5から7週を要すると思われた.
ISSN:0287-2137