痙性麻痺に対する低エネルギーレーザーの使用経験
運動療法をすすめる上で痙性が阻害因子となる症例は少なくない. 今回, 痙性尖足を有する症例に対して痙性緩解を目的に低エネルギー半導体レーザー照射を行った. 調査対象は, 脳血管障害後の片麻痺16例, 脳性麻痺15例, その他6例の合計37症例である. 使用機器は, 日本医用レーザー研究所の大城たちが開発したOHLASE-3DIで, 出力60 mW, 波長830 nmの連続波を用いた. 照射部位は膝窩部で脛骨神経の走行上に30秒間3回連続照射し, 週2回施行した. 効果は著明改善(足クローヌスの消失):3例, 中等度改善(足クローヌス出現回数減少):18例, 軽度改善(足クローヌス出現回数不変,...
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 28; no. 12; p. 1090 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
01.12.1991
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ISSN | 0034-351X |
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Summary: | 運動療法をすすめる上で痙性が阻害因子となる症例は少なくない. 今回, 痙性尖足を有する症例に対して痙性緩解を目的に低エネルギー半導体レーザー照射を行った. 調査対象は, 脳血管障害後の片麻痺16例, 脳性麻痺15例, その他6例の合計37症例である. 使用機器は, 日本医用レーザー研究所の大城たちが開発したOHLASE-3DIで, 出力60 mW, 波長830 nmの連続波を用いた. 照射部位は膝窩部で脛骨神経の走行上に30秒間3回連続照射し, 週2回施行した. 効果は著明改善(足クローヌスの消失):3例, 中等度改善(足クローヌス出現回数減少):18例, 軽度改善(足クローヌス出現回数不変, 自覚症状改善):6例, 不変:10例, 悪化例はなかった. 痙性の緩解によりROMの拡大, 歩容の改善も認められた. 効果発現は, ほとんどの症例が即時性(12時間以内)であるが, 著明に改善した3例は3日間効果が持続した. 低エネルギーレーザーは, 主としで慢性疼痛性疾患の除痛を目的に応用されてきた. 今回, 痙性緩解を目的にレーザーを応用した結果, 有効性(約72%)が認められた. レーザーの作用機序は不明であるが, 温熱効果, 神経ブロックとしての作用, 自律神経に対する作用などが考えられる. レーザー照射は運動療法を行う上に有用と考えられた. <質疑応答> 辻内和人(国立塩原温泉病院):(1)一人の患者にどのくらいの期間レーザー照射を行い効果を得たか. (2)効果の持続期間はどのくらいか. (3)クロヌスの軽減以外に, しびれ等の症状は出現しなかったか. 原田孝:(1)レーザー照射時間は30秒間行い, 5秒間隔をおいて合計90秒間照射した. (2)効果は即時性が大部分であるが, 著明に改善した症例では3日間効果が持続した. (3)照射時間を30秒間に設定した理由は, 当大学解剖学猪俣教授の形態学的データから15~30秒の照射が効果があるという証明から設定した. 豊永敏宏(座長):片麻痺には痙縮型と固縮型があるが, 効果と型別との相関はあったか. |
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ISSN: | 0034-351X |