重症頭部外傷患者のリハビリテーション経験
スポーツ事故による重症頭部外傷, 16歳, 男児に対し, 再就学を目標に比較的早期から記憶障害に対するリハビリテーションアプローチを試みた. 他院にて急性硬膜下血腫に対する手術などを受け, 受傷77日後の平成7年7月10日, 当院当科に転入院した. 当科入院時意識レベルはJCS 3, 両側片麻痺, 左半側無視, 言語障害などを認め, Barthel indexは0点であった. 歩行訓練の進捗に伴い, 単語記銘, 人名(担当者)記憶, スタッフ10名の顔写真と姓の想起, 道順ならびに口頭指示による用事の記憶, トランプの神経衰弱などの記憶課題を訓練した. 標準評価の他に記憶障害経過の評価にはHD...
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 33; no. 9; p. 639 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
18.09.1996
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ISSN | 0034-351X |
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Summary: | スポーツ事故による重症頭部外傷, 16歳, 男児に対し, 再就学を目標に比較的早期から記憶障害に対するリハビリテーションアプローチを試みた. 他院にて急性硬膜下血腫に対する手術などを受け, 受傷77日後の平成7年7月10日, 当院当科に転入院した. 当科入院時意識レベルはJCS 3, 両側片麻痺, 左半側無視, 言語障害などを認め, Barthel indexは0点であった. 歩行訓練の進捗に伴い, 単語記銘, 人名(担当者)記憶, スタッフ10名の顔写真と姓の想起, 道順ならびに口頭指示による用事の記憶, トランプの神経衰弱などの記憶課題を訓練した. 標準評価の他に記憶障害経過の評価にはHDS, Benton視覚記銘テストなどを参照した独目の簡易評価法(50点満点)を用いた. 視覚連想の方策の習得は困難であったが, 記憶評価得点は著明に改善し, Barthel indexは90点, IADLの改善もみられ同年12月末に自宅へ退院した. 日常的問題に即した早期記憶訓練は有用と考えられた. |
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ISSN: | 0034-351X |