食道癌術後患者における摂食機能回復のためのチームアプローチ
食道癌手術後の退院期間の遷延化の原因の一つである経口摂食障害に対して, 大阪大学歯学部附属病院ならびに医学部附属病院における, 歯科医師, 外科医師, 看護職, 栄養士によるteam approachを構成するにあたって行なった主訴とその背景についての予備調査の結果を報告した. 予備調査は1997年7月から11月までの間に大阪大学医学部附属病院, 第二外科において食道癌根治手術を受けた症例の中から, 経口摂食機能に問題があったとみなされた症例を対象に, 問診と観察を中心に行なった, その結果に基づき食道癌術後患者における摂食障害の分類と原因の抽出を行なった. 予備調査の結果, 機能障害は4種-...
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Published in | 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 2; no. 1; p. 69 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本摂食・嚥下リハビリテーション学会
01.12.1998
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ISSN | 1343-8441 |
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Summary: | 食道癌手術後の退院期間の遷延化の原因の一つである経口摂食障害に対して, 大阪大学歯学部附属病院ならびに医学部附属病院における, 歯科医師, 外科医師, 看護職, 栄養士によるteam approachを構成するにあたって行なった主訴とその背景についての予備調査の結果を報告した. 予備調査は1997年7月から11月までの間に大阪大学医学部附属病院, 第二外科において食道癌根治手術を受けた症例の中から, 経口摂食機能に問題があったとみなされた症例を対象に, 問診と観察を中心に行なった, その結果に基づき食道癌術後患者における摂食障害の分類と原因の抽出を行なった. 予備調査の結果, 機能障害は4種-1. むせる, 咳が出る, 2. つつかえる, ひっかかる, たまる, 3. 食事量が少ない, 食品の種類が限定されている, 4. 誤嚥に対する不安-にまとめられた. これらの背景には, 一般の嚥下障害の共通原因が関与する場合に加え, 咀嚼機能の不良による吻合部の通過抵抗の増大, 喉頭挙上術に伴う舌運動障害, 一過性の誤嚥体験による食思不振, 嗜好等が関与していた. この結果に基き, 歯科医師, 外科医師, 看護婦, 栄養士によるチームを構成した. 患者は医学部附属病院入院後に歯学部を受診し, 術後の器質障害や機能障害の原因と内容, 術後の摂食に関る合併症の紹介と対応の方法, 術後の誤嚥性肺炎の防止のための口腔衛生指導を受け, さらに刷り込みを目的として看護婦による同様の指導が繰り返される. 術直後の経口摂取開始後は栄養士による3段階の特別メニューを主体とした栄養管理が行なわれ, さらに経口摂取開始後, 歯学部より往診し口腔機能と経口摂取機能との関係について評価し, 栄養士への情報のfeedbackを行ない良好な成績が得られるようになった. |
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ISSN: | 1343-8441 |