急性右室梗塞の合併により短絡血流動態が増悪した心房中隔欠損症の1例

症例64歳, 男性. 61歳時にうっ血性心不全, 心房細動, 高血圧を指摘された. 1990年3月3日, 労作後に胸痛を自覚し, 近医で急性下垂梗塞と診断されて当科に紹介された. 心エコー図では右室・右房の拡大, 高度の右室壁運動低下, 心房中隔欠損(ASD)および両方向性の短絡血流が認められ, 血行動態では右房圧が肺動脈楔入圧よりも高値を示しており, 本例はASDと急性下壁・右室梗塞の合併と診断された. また, 高度の低酸素血症が認められたが, 右→左短絡による中心性チアノーゼと考えられた. 緊急冠動脈造影では, 右冠動脈近位部に亜完全閉塞が認められ, ウロキナーゼ72万単位の冠動脈内投与に...

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Published in心臓 Vol. 28; no. 1; pp. 29 - 33
Main Authors 川本篤彦, 勝山慶之, 上村史朗, 西田育功, 橋本俊雄, 土肥和紘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 丸善 15.01.1996
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Summary:症例64歳, 男性. 61歳時にうっ血性心不全, 心房細動, 高血圧を指摘された. 1990年3月3日, 労作後に胸痛を自覚し, 近医で急性下垂梗塞と診断されて当科に紹介された. 心エコー図では右室・右房の拡大, 高度の右室壁運動低下, 心房中隔欠損(ASD)および両方向性の短絡血流が認められ, 血行動態では右房圧が肺動脈楔入圧よりも高値を示しており, 本例はASDと急性下壁・右室梗塞の合併と診断された. また, 高度の低酸素血症が認められたが, 右→左短絡による中心性チアノーゼと考えられた. 緊急冠動脈造影では, 右冠動脈近位部に亜完全閉塞が認められ, ウロキナーゼ72万単位の冠動脈内投与により再疎通に成功した. さらに減負荷療法により, 右→左短絡血流は減少し, 低酸素血症は改善した. ASDと右室梗塞の合併による中心性チアノーゼが改善した報告がなく, 本例はまれな症例と考えられる.
ISSN:0586-4488