イヌの主要組織適合性複合体DQ-B鎖の解析

[目的]イヌは移植などの実験モデルとして広く利用されている. 移植実験を確立させるためにはヒトのHLAクラスII抗原に相当するイヌの主要組織適合性複合体であるDLAクラスII抗原が重要な要因となる. しかしながら, DLAクラスII抗原のDNA解析が充分に行なわれていない. 今回我々は, Southern hybridization法を用いてDNAレベルでのDLA-DQ-B鎖について検討したので報告する. [方法]ビーグル犬および雑犬20頭の白血球より高分子DNAを分離した. 制限酵素TaqI, EcoRI, Hind III, BglII, BamHIにより消化後, 電気泳動し, 0.4N...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 36; no. 2; p. 296
Main Authors 小林賢, 阿藤みや子, 今井貴美子, 高尾雅也, 家田和夫, 中村宏, 関口進
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.05.1990
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ISSN0546-1448

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Summary:[目的]イヌは移植などの実験モデルとして広く利用されている. 移植実験を確立させるためにはヒトのHLAクラスII抗原に相当するイヌの主要組織適合性複合体であるDLAクラスII抗原が重要な要因となる. しかしながら, DLAクラスII抗原のDNA解析が充分に行なわれていない. 今回我々は, Southern hybridization法を用いてDNAレベルでのDLA-DQ-B鎖について検討したので報告する. [方法]ビーグル犬および雑犬20頭の白血球より高分子DNAを分離した. 制限酵素TaqI, EcoRI, Hind III, BglII, BamHIにより消化後, 電気泳動し, 0.4N NaOHを用いてnylon filterにtransferした. ヒトDQ-B鎖のcDNA clone pDCβ101をrandom primer標識法を用いて^^32 P-dCTPを標識した. 標識プローブをhybridization溶液に加え, 42℃, 40時間反応させた. 洗浄・乾燥後, autoradiographyを行なった. [結果]ヒトDQ-B鎖cDNA clone pDC β101とhybridizeさせた結果以下のfragmentが観察された. BglII:13.5, 12.5, 10.8, 9.0および6.3kb. 13.5kb以外のfragmentに多形性が認められた. TaqI:10.2, 8.0, 6.3, 4.1および3.2kb. 8.0, 6.3および3.2kb fragmentに多形性が認められた. BamHI:12.2, 10.1, 3.9および3.0kb. 12.2および10.1kb fragmentに多形性が認められた. EcoRI:13.8および10.0kb. 多形性は確認されなかった. Hind III:6.0および4.4kb. 多形性は確認されなかった. 多形性のみられたfragmentを組合せることにより, 6種類のclusterがえられた. このことは, DLA-DQ-B鎖には少なくとも6種類のβ鎖が存在するものと思われる. またHLA-DQ-B鎖とDLA-DQ-B鎖のconstant fragmentとを比較検討した結果, DLA-DQ-B鎖BamHI 10.1kbおよびTaqI 4.1kb fragmentがHLA-DQ-B鎖にも観察された.
ISSN:0546-1448