抗Dib抗体の不適合妊娠の1例
妊娠によって産生されたと考えられる抗Dib抗体保有する妊婦を経験したので報告する. 症例:34歳, 妊娠歴1回, 輸血歴なし, 妊娠24週の抗体スクリーニングにて間接グロブリン試験のみ陽性, 精査の結果, 妊婦はDib抗原陰性の稀血者で, 抗Dib抗体(+)と同定された. 初回の抗体価は8倍, その後抗体価の変動はみられず, 39週目に女児を出産した. 抗Dib抗体に関する副作用報告例は少ないが, 抗Dia抗体による溶血性疾患の報告例をみることより, 交換輸血の必要性を危惧し, Dib抗原陰性血O型RC-MAP2単位を準備し, 生後光線療法を行なった. 経過は良好で交換輸血の必要はなく無事退院...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 46; no. 1; p. 28 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
01.02.2000
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ISSN | 0546-1448 |
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Summary: | 妊娠によって産生されたと考えられる抗Dib抗体保有する妊婦を経験したので報告する. 症例:34歳, 妊娠歴1回, 輸血歴なし, 妊娠24週の抗体スクリーニングにて間接グロブリン試験のみ陽性, 精査の結果, 妊婦はDib抗原陰性の稀血者で, 抗Dib抗体(+)と同定された. 初回の抗体価は8倍, その後抗体価の変動はみられず, 39週目に女児を出産した. 抗Dib抗体に関する副作用報告例は少ないが, 抗Dia抗体による溶血性疾患の報告例をみることより, 交換輸血の必要性を危惧し, Dib抗原陰性血O型RC-MAP2単位を準備し, 生後光線療法を行なった. 経過は良好で交換輸血の必要はなく無事退院した. 患児の血液型はDi(a+b+)であった. おわりに:妊婦の不規則抗体スクリーニング検査の実施は, 患児の分娩前後を把握し適切な情報を提供するとともに, 今回の症例のように稀血を事前に確保できる点において有用であった. |
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ISSN: | 0546-1448 |