過去7年間のMR活動における副作用情報収集の状況と解析結果について

近年, 検査技術の進歩に伴い血液製剤の安全性は格段に向上してきた. しかし, 輸血は有効な治療方法ではあるが一種の臓器移植であるためリスクを伴い, 現行の検査では排除できないウイルス, 細菌等も存在し, また免疫反応等によって様々な副作用が発現する可能性がある. 日本赤十字社では, 1993年より輸血によると疑われる副作用について情報の収集と解析を行い, 重篤例等については厚生省へも報告している. 今回, 岡山県赤十字血液センターのMR活動を通じ寄せられた輸血副作用についてその特徴, 患者背景等について報告する. 方法:患者背景・病歴・検査データ・重篤度・輸血との因果関係等に関する副作用記録の...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 46; no. 6; pp. 582 - 583
Main Authors 近行正昭, 石川雅一, 岡敬子, 内山英一, 宮原正行, 土岐博信, 喜多嶋康一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.12.2000
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ISSN0546-1448

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Summary:近年, 検査技術の進歩に伴い血液製剤の安全性は格段に向上してきた. しかし, 輸血は有効な治療方法ではあるが一種の臓器移植であるためリスクを伴い, 現行の検査では排除できないウイルス, 細菌等も存在し, また免疫反応等によって様々な副作用が発現する可能性がある. 日本赤十字社では, 1993年より輸血によると疑われる副作用について情報の収集と解析を行い, 重篤例等については厚生省へも報告している. 今回, 岡山県赤十字血液センターのMR活動を通じ寄せられた輸血副作用についてその特徴, 患者背景等について報告する. 方法:患者背景・病歴・検査データ・重篤度・輸血との因果関係等に関する副作用記録の記載を担当医に依頼し, 入手した患者検体, 輸血血液について検査を行い, 岡山センターで実施できない検査は中央血液センターに依頼した. 結果と考案:1993年3月から2000年3月までに輸血が原因あるいはその疑いがあると臨床医から報告された副作用報告件数は136件で, その内訳は輸血用血液関連では溶血2件, 非溶血性副作用117件, 輸血後GVHDの疑い8件, 肝炎7件, その他2件で, 分画製剤は2件であった. 原因と考えられた製剤は, 血小板製剤45.6%, 赤血球製剤30.1%, 血漿製剤15.4%の順であったが, 輸血との因果関係が解明されなかったものも多い. しかし, 今後も副作用情報収集の中で背景因子を調査解析していくことは, 原因究明の糸口を見つけることであり, 安全な輸血を行うために重要であると考える.
ISSN:0546-1448