治療に難渋したASO患者の1例

「症例」74歳, 男性. 「疾患名」閉塞性動脈硬化症. 「障害名」右股離断. 「現病歴」平成10年より右下肢痛, 間欠性跛行認める. 平成11年4月26日右下肢筋力低下認め, 当院血管外科に加療精査目的にて入院. 両下肢血管造影施行し両下肢閉塞性動脈硬化症と診断される. 右下肢は下腿の一部まで壊死を起こしていた. 平成11年5月24日F-Fバイパス術後直ちに, 右下肢大腿切除術施行. 術後, バイパス部, 切断部より壊死を起こし, 平成11年6月24日右股関節離断術施行. 術後, 切断部癒合不全, また感染を起こしたため, 創部開放, 洗浄を行った. 平成11年7月23日同様の処置に加え糖尿病...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inリハビリテーション医学 Vol. 37; no. 12; p. 1062
Main Authors 李しゅせん, 佐藤新介, 神山一行, 城井義隆, 穂坂雅之, 高崎幸雄, 田島里佳, 神宮俊哉, 川手信行, 森義明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.12.2000
Online AccessGet full text
ISSN0034-351X

Cover

More Information
Summary:「症例」74歳, 男性. 「疾患名」閉塞性動脈硬化症. 「障害名」右股離断. 「現病歴」平成10年より右下肢痛, 間欠性跛行認める. 平成11年4月26日右下肢筋力低下認め, 当院血管外科に加療精査目的にて入院. 両下肢血管造影施行し両下肢閉塞性動脈硬化症と診断される. 右下肢は下腿の一部まで壊死を起こしていた. 平成11年5月24日F-Fバイパス術後直ちに, 右下肢大腿切除術施行. 術後, バイパス部, 切断部より壊死を起こし, 平成11年6月24日右股関節離断術施行. 術後, 切断部癒合不全, また感染を起こしたため, 創部開放, 洗浄を行った. 平成11年7月23日同様の処置に加え糖尿病のコントロールおよびリハビリテーション目的にて当科転科となる. 「問題点」(1)創部癒合不全, (2)上下肢筋力低下. 「リハ経過」平成11年9月2日遊離植皮術施行. 術後全身状態および創部は軽快し, 糖尿病は内服と食事療法で安定. 筋力低下に対し, 訓練により, 平行棒内は両上肢支持, 健肢自立歩行が連続2往復可能で, 歩行器は近位監視で5~6m可能. ベッドから車椅子の移乗動作はほぼ自立となった. 「まとめ」今回, F-Fバイパス直後に, 右大腿切断を行ったが, 血行不良および感染により股離断, その後創の癒合不全など治療に難渋したASO患者を経験した. 最終的に股義足は適応とならなかったが, 訓練により平行棒内歩行自立/移乗動作自立, W/C自立となった症例である.
ISSN:0034-351X