疲労困憊症状を持つ勤労者における心自律神経機能とその交絡要因

心血管障害発症に関わる疲労困憊症状(VE)と心自律神経機能との関連について, 喫煙習慣の交絡影響を中心に検討した. 対象は, 循環系疾患・糖尿病既往のない男子90人(年齢30~59歳)とした. 疲労困憊症状の評価にはMaaschricht Questionnaire日本語訳を用い, 心自律神経機能の評価には安静時心電図R-R変動のスペクトル解析を用いた. 高VE群では低・中VE群に比しHF amplitudeが有意に低値を示したが, LF/HFの3群間の差は明らかでなかった. VE群, 喫煙群, 年齢群による分散分析により, HF amplitudeに対してVE群×喫煙群, VE群×喫煙群×年...

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Published in産業衛生学雑誌 Vol. 43; no. 1; p. 20
Main Authors 渡辺丈眞, 炭美子, 荒金愛, 河野公一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本産業衛生学会 20.01.2001
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ISSN1341-0725

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Summary:心血管障害発症に関わる疲労困憊症状(VE)と心自律神経機能との関連について, 喫煙習慣の交絡影響を中心に検討した. 対象は, 循環系疾患・糖尿病既往のない男子90人(年齢30~59歳)とした. 疲労困憊症状の評価にはMaaschricht Questionnaire日本語訳を用い, 心自律神経機能の評価には安静時心電図R-R変動のスペクトル解析を用いた. 高VE群では低・中VE群に比しHF amplitudeが有意に低値を示したが, LF/HFの3群間の差は明らかでなかった. VE群, 喫煙群, 年齢群による分散分析により, HF amplitudeに対してVE群×喫煙群, VE群×喫煙群×年齢群に有意な交互作用が認められた. 疲労困憊症状の強い中年男子の心自律神経機能は副交感神経機能が低下し, 交感神経機能との関連は乏しいと考えられた. さらに, その副交感神経機能の低下には喫煙習慣の交絡が存在することを示唆した.
ISSN:1341-0725