中央血液センター医薬情報部に報告された重篤な輸血副作用
【目的】輸血副作用は軽度の蕁麻疹からGVHD, ショックなどの死亡にいたる重篤のものまで多様である. 当医薬情報部では発足以来これらの輸血副作用についての情報を全国的に収集しているが, 今回1993年の報告から特に重篤例についてまとめ報告する. 【方法】副作用報告は原則的に全国各地のMRが収集した. 血液センターにおいては患者検体と輸血製剤の特殊検査, その後の輸血計画, 詳細な経過の把握, 該当輸血製剤ドナーの追跡調査などに関わった. 重症度の判定は報告例の担当医によった. 【結果】死亡を含む重篤例は53例であった. 内訳は輸血後GVHD15例, アナフィラキシーショック11例, ショック4...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 40; no. 2; p. 327 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
01.05.1994
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ISSN | 0546-1448 |
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Summary: | 【目的】輸血副作用は軽度の蕁麻疹からGVHD, ショックなどの死亡にいたる重篤のものまで多様である. 当医薬情報部では発足以来これらの輸血副作用についての情報を全国的に収集しているが, 今回1993年の報告から特に重篤例についてまとめ報告する. 【方法】副作用報告は原則的に全国各地のMRが収集した. 血液センターにおいては患者検体と輸血製剤の特殊検査, その後の輸血計画, 詳細な経過の把握, 該当輸血製剤ドナーの追跡調査などに関わった. 重症度の判定は報告例の担当医によった. 【結果】死亡を含む重篤例は53例であった. 内訳は輸血後GVHD15例, アナフィラキシーショック11例, ショック4例, ARDSまたは呼吸困難, 痙攣3例, 敗血症性ショック1例, B型劇症肝炎1例, 輸血後B型肝炎の疑い8例, 輸血後C型肝炎の疑い9例, 輸血後マラリア原虫感染の疑い1例であった. 輸血後GVHDを疑われて連絡のあった31件中, 患者検体が送付されたものは18例であり, うち当血液センターにてmicrosatellite法により確定診断されたものは9例, 否定されたもの9例であった. 患者検体のなかった13例中, 臨床経過や組織所見から輸血後GVHDと考えられたものは6例であった. 確定診断された例の原因血液には, 新鮮血, 保存血(3-16日保存), 濃厚赤血球(2-11日保存), RC-MAP(7-14日保存), または血小板濃厚液が考えられた. ショック等の副作用を呈した例については患者血清の免疫化学的検査を行っているが, 明らかな原因蛋白は検出されなかった. 敗血症性ショック例については輸血との関連性は証明されておらず, マラリア原虫感染例は経過上輸血が原因と考えられたが, 原因血の同定はされていなかった. 【考察】ショックを含むアナフィラキシー反応の究明, 輸血後肝炎については今後の課題と考えられる. 輸血に伴う重篤な副作用はかなりの数にのぼり, それらについての情報収集, 原因究明のための検査法の開発などは血液センターの重要な使命である. |
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ISSN: | 0546-1448 |