安全意識向上のための危険予知訓練の実施~危険意識レベルの均一化

<はじめに>当院では院内報告等によって事故の分析や予防対策などを立案, 実行し事故防止に役立てている. しかし, 一部の部署では, インシデント・アクシデント報告の提出率が極端に悪く安全意識が低い部署がある. いつもと違うと感じた場合, 「危険が潜んでいる」と考えられる感性が必要である. そこで, 全職員が同レベルの危険意識を持つ事を目的とし, 危険予知訓練を行なった. その結果, 危険意識に変化が見られたので報告する. <方法>H16年11月22~27日を医療安全週間とし, 5分間で全職員が毎日1コずつ危険シート(イラスト又は写真)に潜む危険要因を発見, 指摘し, 全...

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Published in日本農村医学会雑誌 Vol. 54; no. 3; p. 398
Main Authors 近藤久子, 黒田かよ子, 成島泰子, 菊地幸代, 佐藤長典, 吉田公代
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本農村医学会 01.09.2005
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ISSN0468-2513

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Summary:<はじめに>当院では院内報告等によって事故の分析や予防対策などを立案, 実行し事故防止に役立てている. しかし, 一部の部署では, インシデント・アクシデント報告の提出率が極端に悪く安全意識が低い部署がある. いつもと違うと感じた場合, 「危険が潜んでいる」と考えられる感性が必要である. そこで, 全職員が同レベルの危険意識を持つ事を目的とし, 危険予知訓練を行なった. その結果, 危険意識に変化が見られたので報告する. <方法>H16年11月22~27日を医療安全週間とし, 5分間で全職員が毎日1コずつ危険シート(イラスト又は写真)に潜む危険要因を発見, 指摘し, 全部署の発見数, 事故報告数の変化, 事故1件あたりの平均点数の変化を調査した. <結果および考察>(1)全部署平均で危険シート1枚に対して25か所の危険要因が指摘できた. その結果, 看護部, 薬剤部, リハビリ部, 臨床工学部など専門職部門では, 技術の視点での指摘が多いのに対して, 事務部では患者の声としての指摘が多くみられ, それぞれの職種によって視点の違いがあり, 相違点を共有することでさらに学習効果に繋がったと考える. (2)5分間で実施した事で, ほとんどの部署は時間を毎日取る事ができ, 真剣に取り組んでくれた. しかし1部の部署では結果表の提出日に急いで書き込むなど, 研修の意図がまったく伝わらない部署があった. しかし, 全部署の報告結果をまとめて配布した事で, 他部署の取り組み方を目のあたりにし危険意識に変化が見られた. その後は事故報告書の提出がされるようになった. また, 事故に関して各部署の職員が合同で分析を行なう際には, 加わるなどの変化が見られ危険意識の向上が伺われた. (3)最終日になって, 栄養部では日ごろから注意しても改善が見られなかった包丁の置き方について危険シートを写真で作成, 危険予知訓練を行なったところ, それぞれが危険意識を持ち, 改善されたと報告があった. このように, 責任者が一方的に指摘するのではなく危険シートを見てスタッフ自らが考える機会を持てた事が改善に繋がったと考えられる, (4)事故1件あたりの平均点数を比較すると減少が見られる事から, 危険意識の芽生えが安全管理に反映していると思われる. <まとめ>(1)短時間でも危険予知訓練を連日実施する事で, 危険意識の薄い部署の安全意識を向上させる事が出来た. (2)他部署の訓練結果を見る事で, 部署間での学びがあった. (3)事故1件あたりの平均点数が減少し, 危険予知訓練の効果があった.
ISSN:0468-2513