THA後の早期リハビリテーションと深部静脈血栓症の予防について

「目的」人工股関節置換術(以下THA)後の合併症の1つとして深部静脈血栓症(以下DVT)が注目されているが, 術後早期のリハビリテーションがDVTに与える影響を検討したので報告する. 「方法」1996年1月~1998年12月に, 当科でTHAを施行した113例135股を通常リハ群, クリティカルパス導入後の1999年4月~1999年10月にTHAを施行した25例26股を早期リハ群とした. 各群の臥床期間と荷重開始時期を調査した. また, 通常リハ群においては臨床症状および検査結果などから明らかなDVTの発症率を調査し, 早期リハ群においては全例に下肢静脈造影を施行し, DVT発症の有無を評価し...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 37; no. 12; p. 977
Main Authors 大木央, 大森弘則, 奥村康弘, 安藤正郎, 橋本直樹, 馬場久敏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.12.2000
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Summary:「目的」人工股関節置換術(以下THA)後の合併症の1つとして深部静脈血栓症(以下DVT)が注目されているが, 術後早期のリハビリテーションがDVTに与える影響を検討したので報告する. 「方法」1996年1月~1998年12月に, 当科でTHAを施行した113例135股を通常リハ群, クリティカルパス導入後の1999年4月~1999年10月にTHAを施行した25例26股を早期リハ群とした. 各群の臥床期間と荷重開始時期を調査した. また, 通常リハ群においては臨床症状および検査結果などから明らかなDVTの発症率を調査し, 早期リハ群においては全例に下肢静脈造影を施行し, DVT発症の有無を評価した. 「結果」平均臥床期間は通常リハ群では約17日, 早期リハ群では約6日で, 荷重開始時期も大幅に早期化していた. 術後のDVTの発症率は通常リハ群では少なくとも12例, 10.4%であったのに対し, 早期リハ群では1例の発症も認めなかった. 「考察」THA後DVTの予防法として抗凝固療法などの薬剤療法が主に行われているが, 予防的な投与であると同時に重篤な合併症が少なからず報告されており, より安全な予防法が望まれる. 足底静脈叢のポンピングはその予防に効果的であるとの報告も多く, 早期荷重を行うことで, 術後早期よりそのポンピング効果が期待できる. 今回の検討により, クリティカルパスを用いることで確実な早期リハが行えると同時に, 早期荷重はDVTの予防に効果的で安全な方法であると考えられた.
ISSN:0034-351X