HCV抗体検査陰性, HCV-RNA検査陽性の1症例

C型肝炎のスクリーニングには一般的にHCV抗体検査が用いられている. 今回われわれはHCV抗体検査陰性で, PCR法によるHCV-RNA検査陽性であった症例を経験し, 原因の検索を行ったので報告する. 症例:53歳, 男性. C型慢性肝炎, 慢性関節リウマチなどの疑いで, 近医紹介により当院を受診した. 結果:肝機能検査は, ASTとγ-GTPが異常高値の他は正常であった. 日時を変えて, 二回のHCV抗体検査をロッシュ社のコバスコアIIを用いて行ったところ陰性であった. PCR法によるHCV抗原検査はロッシュ社のアンプリコアHCVを用いており, 定性検査は強陽性, 定量検査は1.4×10^6...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 46; no. 6; pp. 581 - 582
Main Authors 谷廣ミサヱ, 平岡朝子, 吉田日出子, 栗田絵美, 増田利恵, 藤井輝久, 原田結花, 高田昇, 木村昭郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.12.2000
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ISSN0546-1448

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Summary:C型肝炎のスクリーニングには一般的にHCV抗体検査が用いられている. 今回われわれはHCV抗体検査陰性で, PCR法によるHCV-RNA検査陽性であった症例を経験し, 原因の検索を行ったので報告する. 症例:53歳, 男性. C型慢性肝炎, 慢性関節リウマチなどの疑いで, 近医紹介により当院を受診した. 結果:肝機能検査は, ASTとγ-GTPが異常高値の他は正常であった. 日時を変えて, 二回のHCV抗体検査をロッシュ社のコバスコアIIを用いて行ったところ陰性であった. PCR法によるHCV抗原検査はロッシュ社のアンプリコアHCVを用いており, 定性検査は強陽性, 定量検査は1.4×10^6 であった. オーソ社のHCV抗体迅速検査は(+), ELISAIIIでは(+), フジレビオ社のPA法は(+), ルミパルスでは(+), であった. オーソ社のウェスタンプロット法RIBAIIIの結果は, NS3(4+), NS4(1+), NS5(-), コア領域(-), SOD(-)で, 結果としては陽性であった, 考察:このような結果の原因としては, (1)この患者がコア部分やNS5に対する抗体をもっていないこと, (2)この試薬のNS3部分の感度が低いこと, が考えられた. 今回のような抗HCV抗体の種類に偏りのあるような症例では, HCV抗体スクリーニング検査でC型肝炎を見落としてしまう可能性がある. 今後の検査結果に注意を要すると考える.
ISSN:0546-1448