新生児期から発達評価を行った脳性麻痺児の新生児期画像所見と発達上の特徴

「目的」脳性麻痺(以下CP)児の新生児期頭部MRI所見やその後の発達経過などについて後方視的に調査した. 「対象」1993年3月~1995年8月に当院NICU入院中にリハ科を初診した368例中, その後CPと診断された36例. 3/4は出生体重1500g未満. 「結果」(1)頭部MRIにおいてCPと強い関連がある脳室周囲白質軟化症(以下PVL)は17例, 脳室周囲出血(以下PVH)は8例(両側2例, 一側3例, PVH+IVH3例). これに多発性脳軟化の1例も含めた26例(72%)が新生児期MRIでCPが予測可能であった. これらは1例を除き全例が痙直型であった. 次に臨床症状・検査所見から...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 35; no. 11; p. 869
Main Authors 半澤直美, 前野豊, 松井潔, 安藤徳彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.11.1998
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ISSN0034-351X

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Summary:「目的」脳性麻痺(以下CP)児の新生児期頭部MRI所見やその後の発達経過などについて後方視的に調査した. 「対象」1993年3月~1995年8月に当院NICU入院中にリハ科を初診した368例中, その後CPと診断された36例. 3/4は出生体重1500g未満. 「結果」(1)頭部MRIにおいてCPと強い関連がある脳室周囲白質軟化症(以下PVL)は17例, 脳室周囲出血(以下PVH)は8例(両側2例, 一側3例, PVH+IVH3例). これに多発性脳軟化の1例も含めた26例(72%)が新生児期MRIでCPが予測可能であった. これらは1例を除き全例が痙直型であった. 次に臨床症状・検査所見から総合的にCPを強く疑われたのは6例(17%)で, 残る4例中3例は新生児期には明らかな異常がなく, いずれも後にアテトーゼ型または混合型の四肢麻痺と診断された. (2)PVLの17例の経過をみると, 痙性四肢麻痺(座位不能)3例, 痙性両麻痺9例, 軽度痙性両麻痺(明らかな痙性はなく分離運動も可能だが, 下肢の緊張の高さや軽いうちわ歩行を認めるなど, 完全に正常と判断できなかった群)4例の3群に分かれた. 嚢胞性変化のあるグループの方が歩行開始が遅くてんかんの合併が多かった. (3)PVHの8例は, 左右差の強い痙性四肢麻痺か片麻痺を示したが, 痙性が下肢に強い傾向があるため「左右差の強い痙性両麻痺」と診断される例もあった. 修正4カ月までは両下肢の緊張亢進を認め, 左右差は6~7カ月以降目立ち始めている. 「考察」今後は新生児期からの予後予測について前方視的な調査が必要である.
ISSN:0034-351X