ラグビー中に受傷したhangman骨折の1例
【症例】22歳, 男性, 長崎大学医学部ラグビー部所属. H14.5.21高校生とのラグビーの合同練習中, モールが崩れ, 膝まづく状態で上から相手に乗られ受傷. 頚椎には屈曲-圧迫強制力を受けた. 意識は清明で呼吸障害はなかったが, 直後より激しい頚部痛と左上肢の麻痺を認めた. 単純X線像上, C2関節突起間骨折とC2/3での脱臼を認めた. Levine分類ではType IIIでC2の前方転位は骨折部で約9mmであった. 直ちに入院し, MRI撮像後, 頭蓋骨からの持続牽引(ガードナー牽引)を約4週間, その後ハローベストを約4週間装着した. 受傷後約3ヵ月の現在, 神経麻痺症状はほぼ回復し...
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Published in | 整形外科と災害外科 Vol. 52; no. 4; pp. 938 - 939 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
西日本整形・災害外科学会
25.09.2003
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ISSN | 0037-1033 |
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Summary: | 【症例】22歳, 男性, 長崎大学医学部ラグビー部所属. H14.5.21高校生とのラグビーの合同練習中, モールが崩れ, 膝まづく状態で上から相手に乗られ受傷. 頚椎には屈曲-圧迫強制力を受けた. 意識は清明で呼吸障害はなかったが, 直後より激しい頚部痛と左上肢の麻痺を認めた. 単純X線像上, C2関節突起間骨折とC2/3での脱臼を認めた. Levine分類ではType IIIでC2の前方転位は骨折部で約9mmであった. 直ちに入院し, MRI撮像後, 頭蓋骨からの持続牽引(ガードナー牽引)を約4週間, その後ハローベストを約4週間装着した. 受傷後約3ヵ月の現在, 神経麻痺症状はほぼ回復し, 頚椎の外固定なく日常生活に復帰している. 【考察】軸椎関節突起間骨折(hangman's fracture)は絞首刑者に特徴的であり, 受傷機転は伸展-圧迫強制で起こるとされてきた. しかし今回の症例は頚椎に屈曲-圧迫強制力を受け受傷したことは明らかであり, 頭蓋牽引, ハローベストともに受傷機転と反対の伸展-牽引力を加えることで良好な整復を獲得できた, このことより1985年に発表したLevineらの分類は治療上有用であった. 長崎大学医学部ラグビー部においてH10にスクラム練習中に頚髄損傷を経験しており, 安全対策を講じていたにも関わらず, 今回の事故発生に至った. 今後, 重傷の事故発生防止にはなお一層の予防策を検討していくつもりである. |
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ISSN: | 0037-1033 |