新鮮凍結血漿の使用状況
【目的】1986年に輸血療法の適正化に関するガイドラインが制定され, 新鮮凍結血漿(FFP)の使用基準も定められ7年が経過した. そこで当院でのFFPの使用状況を調べ, ガイドラインに沿った適正使用が実施されているかを検討したので報告する. 【方法】1986年よりFFPの使用数を年度別に集計した. また最近1年間は, 手術室と病棟に分けて使用状況を集計し, さらに使用症例の基礎疾患, 凝固機能検査の結果を調べ, FFPの使用が適正か否かを検討した. 【結果】1986年から1991年のFFPの年度別の使用単位数は, 18,392 17,993 13,059 12,346 8,601 9,502で...
Saved in:
Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 39; no. 2; p. 517 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
01.05.1993
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 0546-1448 |
Cover
Summary: | 【目的】1986年に輸血療法の適正化に関するガイドラインが制定され, 新鮮凍結血漿(FFP)の使用基準も定められ7年が経過した. そこで当院でのFFPの使用状況を調べ, ガイドラインに沿った適正使用が実施されているかを検討したので報告する. 【方法】1986年よりFFPの使用数を年度別に集計した. また最近1年間は, 手術室と病棟に分けて使用状況を集計し, さらに使用症例の基礎疾患, 凝固機能検査の結果を調べ, FFPの使用が適正か否かを検討した. 【結果】1986年から1991年のFFPの年度別の使用単位数は, 18,392 17,993 13,059 12,346 8,601 9,502でガイドライン制定後, 減少した. また1990年以後は, 濃厚赤血球(CRC)と併用輸血(抱き合わせ輸血)依頼時の対応策として, 「症状経過用紙」への理由記入により, 使用単位数はさらに減少した. 手術室でのFFPの使用は大量出血に対しCRCや全血製剤との併用輸血が多かった. またFFPを準備した症例の2~3割でFFPが未使用であったが, CRCの準備量が5単位以下の輸血依頼で多かった. 病棟では主にDICの症例で使用されており, 抱き合わせ輸血が2割前後で見られたが, 比較的FFPの単独使用が多かった. 手術室使用では, 手術前に凝固異常がある症例は少なく, 半数は正常であった. また緊急手術のためか約4割で凝固検査が未実施であった. 病棟では約半数の症例で凝固異常が認められた. しかし凝固機能が正常になった後もFFPを使用したり, 凝固検査を充分に実施していない症例, 全く異常のない症例もあり, FFPよりもアルブミン製剤適応の症例も見られた. 【まとめ】FFPの使用数はガイドライン制定後, 年々減少し, 以前の様にむやみに使用される事は少なくなったが, ここ数年, 使用数は横這い状態である. これは抱き合わせ輸血が依然手術室で見られる事, 一部の症例でアルブミン製剤の代用として使用されている事が根底にあると考えられる. 今後より一層臨床側にFFPの使用基準の啓蒙をはかり, ガイドラインに沿ったFFPの適正使用を広めて行きたい. |
---|---|
ISSN: | 0546-1448 |