キセノンCTによる脳血流所見と失語症重症度
失語症を有する脳障害患者に, 非放射性キセノン造影CT(Xe-CT)による定量的脳血流測定を施行し, われわれの作成したXe-CT所見分類法に基づき, 失語症重症度との対比検討を行った. 対象患者は72名(平均年齢59.8歳)で, このうち初回入院群は55名で, Xe-CT施行までの平均日数は133日であった. 陳旧失語群は17名で, 施行までの日数は387~5,703日となった. 失語症の重症度は, SLTAの聴読話書の2つ以上重度を重度群, その他を非重度群とし, 血流型別の失語重症度分布をみると, (1)健側血流低下型中, 重度18名, 非重度6名, (2)健側良好・患側頭頂皮質下低下型...
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 33; no. 10; pp. 727 - 728 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
18.10.1996
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ISSN | 0034-351X |
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Summary: | 失語症を有する脳障害患者に, 非放射性キセノン造影CT(Xe-CT)による定量的脳血流測定を施行し, われわれの作成したXe-CT所見分類法に基づき, 失語症重症度との対比検討を行った. 対象患者は72名(平均年齢59.8歳)で, このうち初回入院群は55名で, Xe-CT施行までの平均日数は133日であった. 陳旧失語群は17名で, 施行までの日数は387~5,703日となった. 失語症の重症度は, SLTAの聴読話書の2つ以上重度を重度群, その他を非重度群とし, 血流型別の失語重症度分布をみると, (1)健側血流低下型中, 重度18名, 非重度6名, (2)健側良好・患側頭頂皮質下低下型中, 重度22名, 非重度7名, (3)健側良好・患側頭頂皮質下良好型中, 重度1名, 非重度18名であった. すなわち, 発症4カ月前後の失語症患者においては, 患側皮質血流低下の範囲や程度と, 失語症重症度との間に相関がなく, 健側血流が不良だと失語症は重度化し, 健側血流良好でも, 患側頭頂皮質下の血流低下が重度だと, 失語症が重度化していた. 以上より, この時期の失語症の改善には, 健側による代償機能の関与の可能性が示唆されたが, 1年以上の長期にわたり失語が非重度化した1例においては, 患側皮質の血流が改善しており, 今後の検討を要する. |
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ISSN: | 0034-351X |