晩発性小脳皮質萎縮症で認められた巨大SEPの発生機序に関する検討

晩発性小脳皮質萎縮症の巨大SEPの発現機序に関して電気生理学的考察を試みた. 電気生理学的考察の手段として感覚閾値を各症例毎に決定し, 刺激強度を段階的に増し, 正中神経刺激SEPにより得られるN9, N20-P25の振幅の変化を各刺激強度毎に観察した. また, 正中神経刺激SEPにより得られるN20の頭皮上分布を観察することで双極子層の広がりを観察した. 我々の経験した巨大SEPは, ミオクローヌスを伴わない無症候性巨大SEPの特徴を有していた. また, 皮質成分のN20-P25の振幅は健常人および巨大SEPを呈さない脊髄小脳変性症患者と異なり, 感覚閾値程度の刺激でmaximumに近い振幅...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 34; no. 2; p. 150
Main Authors 黒木洋美, 幸本かおり, 安田國士, 紫藤泰二, 浅山滉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.02.1997
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Summary:晩発性小脳皮質萎縮症の巨大SEPの発現機序に関して電気生理学的考察を試みた. 電気生理学的考察の手段として感覚閾値を各症例毎に決定し, 刺激強度を段階的に増し, 正中神経刺激SEPにより得られるN9, N20-P25の振幅の変化を各刺激強度毎に観察した. また, 正中神経刺激SEPにより得られるN20の頭皮上分布を観察することで双極子層の広がりを観察した. 我々の経験した巨大SEPは, ミオクローヌスを伴わない無症候性巨大SEPの特徴を有していた. また, 皮質成分のN20-P25の振幅は健常人および巨大SEPを呈さない脊髄小脳変性症患者と異なり, 感覚閾値程度の刺激でmaximumに近い振幅に達していた. このことから, 末梢からの刺激に対して大脳皮質が興奮し易い状態であることが示唆された. 一方, N20の頭皮上分布の結果からN20の双極子層が限局化して巨大SEPを生じている可能性については, 今後の症例の累積が必要と思われた.
ISSN:0034-351X