反射性交感神経性ジストロフィーの1例

今回, 重症化した反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)の患者に多面的な治療を行い, 改善をみた症例を経験したので報告する. 「現病歴」35歳女性が, 平成9年5月交通事故により右第5中手骨を骨折し近医にてギプス固定を受けた. 1ヵ月以上経過したが右手痛, 腫脹が持続するため近医にて加療されたが改善せず, 平成10年3月当科紹介初診した. 同年10月頃, 寛解していた神経症が再発したため精神科に入院した. 同年12月当科入院となった. 入院時右上肢全体にわたる強い疼痛, 発赤, 腫脹を認め手関節より遠位の関節に強い拘縮が存在した. そのため右上肢は廃用肢状態であった. この障害のため寛解して...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 36; no. 11; p. 798
Main Authors 門智恵子, 宮畑育子, 戸田克広, 宗重博, 木村浩彰, 吉村理, 生田義和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.11.1999
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ISSN0034-351X

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Summary:今回, 重症化した反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)の患者に多面的な治療を行い, 改善をみた症例を経験したので報告する. 「現病歴」35歳女性が, 平成9年5月交通事故により右第5中手骨を骨折し近医にてギプス固定を受けた. 1ヵ月以上経過したが右手痛, 腫脹が持続するため近医にて加療されたが改善せず, 平成10年3月当科紹介初診した. 同年10月頃, 寛解していた神経症が再発したため精神科に入院した. 同年12月当科入院となった. 入院時右上肢全体にわたる強い疼痛, 発赤, 腫脹を認め手関節より遠位の関節に強い拘縮が存在した. そのため右上肢は廃用肢状態であった. この障害のため寛解していた神経症が再発増悪し大量の向精神病薬内服を再開した. 「治療」温冷交代浴, 疼痛を増悪させない程度の他動運動, ノイロトロピン(R)内服治療, 直線偏光近赤外線による星状神経節近傍照射はほぼ毎日施行した. 局所静脈内ブロックを9回施行し, ナックルベンダーを処方した. その結果, 右上肢全体にわたる疼痛, 発赤, 腫脹が消失し, 右手の拘縮は改善した. 入院時廃用肢だった右上肢が実用肢となり, 向精神病薬の減量も可能となり精神症状も寛解した. 「最後に」我々は以下の点に留意してRSDの治療を行っている. 1)複数の治療を組み合わせる. 2)他運動は疼痛が生じない程度とする. 3)局所静脈内ブロックは効果が大きい.
ISSN:0034-351X