気管支鏡直視下生検で診断された肺形質細胞腫の1例

症例は73歳, 男性で, 主訴は胸部異常陰影である. 住民検診で, 胸部異常陰影を指摘され, 精査を希望して来院した. 自覚症状はなかった. CTでは右肺門部に腫瘤を認め, 縦隔リンパ節の腫大を伴っていた. 気管支鏡では右主幹から右上幹入口部にかけて大きな粘膜下腫瘤を認めた. 右上幹のさらに末梢では内腔に突出する大小のポリープを形成していた. 気管支鏡直視下生検で形質細胞に類似した小円形細胞の均一な増殖を認めた. 粘膜下結合組織の一部にはアミロイドの沈着も認めた. 免疫組織化学ではχlight chainのみが陽性であった. 血清免疫電気泳動ではIgG, χでM蛋白を認めた. 骨髄穿刺では形質...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in気管支学 Vol. 20; no. 1; p. 86
Main Authors 高木秋夫, 石崎敬
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本気管支学会 25.01.1998
Online AccessGet full text
ISSN0287-2137

Cover

More Information
Summary:症例は73歳, 男性で, 主訴は胸部異常陰影である. 住民検診で, 胸部異常陰影を指摘され, 精査を希望して来院した. 自覚症状はなかった. CTでは右肺門部に腫瘤を認め, 縦隔リンパ節の腫大を伴っていた. 気管支鏡では右主幹から右上幹入口部にかけて大きな粘膜下腫瘤を認めた. 右上幹のさらに末梢では内腔に突出する大小のポリープを形成していた. 気管支鏡直視下生検で形質細胞に類似した小円形細胞の均一な増殖を認めた. 粘膜下結合組織の一部にはアミロイドの沈着も認めた. 免疫組織化学ではχlight chainのみが陽性であった. 血清免疫電気泳動ではIgG, χでM蛋白を認めた. 骨髄穿刺では形質細胞は1%以下であった. 全身の骨格, 諸臓器の検索では頭蓋骨に腫瘍を1個認めた. 以上の所見から, 本症例は肺形質細胞腫の進行例と考えられた. 肺形質細胞腫は診断が難しく, 気管支鏡検査で診断できたのは文献上, 本症例を含めて2例のみであった.
ISSN:0287-2137