一次性脳損傷死亡例における内頸静脈酸素飽和度(Sj_O2 )モニタリング

<目的>生体内組織での酸素需要, 供給のバランスの指標として, 光ファイバーカテーテルを利用した静脈血酸素飽和度が注目されている. われわれはは一次性脳損傷による意識障害患者の内頸静脈球部酸素飽和度(Sj_O2 )を連続測定し, その死亡例について経時的変化を解析し測定意義について検討した. <対象>意識障害を主訴に当院に来院した一次性脳損傷患者15例でSj_O2 を連続測定した. 死亡例は9例で, 患者の内訳は, 頭部外傷5例, くも膜下出血3例, 高血圧性脳内出血1例であった. 非死亡例7例と比較検討した. <方法>右内頸静脈よりファイバーオプティクカテ...

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Published in蘇生 Vol. 10; pp. 79 - 80
Main Authors 方波見剛, 水谷泰文, 間淑郎, 篠宮秀友, 吉田浩, 坂本辰夫, 小川武希
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本蘇生学会 01.04.1992
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ISSN0288-4348

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Summary:<目的>生体内組織での酸素需要, 供給のバランスの指標として, 光ファイバーカテーテルを利用した静脈血酸素飽和度が注目されている. われわれはは一次性脳損傷による意識障害患者の内頸静脈球部酸素飽和度(Sj_O2 )を連続測定し, その死亡例について経時的変化を解析し測定意義について検討した. <対象>意識障害を主訴に当院に来院した一次性脳損傷患者15例でSj_O2 を連続測定した. 死亡例は9例で, 患者の内訳は, 頭部外傷5例, くも膜下出血3例, 高血圧性脳内出血1例であった. 非死亡例7例と比較検討した. <方法>右内頸静脈よりファイバーオプティクカテーテルを挿入し連続的にSj_O2 を測定した. カテーテルの先端は確実に内頸静脈球部に留置されるように頭部単純写真にて確認した. また経時的に内頸静脈, 動脈より採血し, 血液ガス分析, グルコース, 乳酸およびピルビン酸を測定した. <結果>受傷または発症後6時間および12時間後のSj_O2 の値に有意差は認められなかった. 24時間の死亡例ではSj_O2 は80%以上の高値を示し, 有意差を認めた. 非死亡例では常にSj_O2 は80%以下であった. 動静脈酸素圧較差は, 死亡例で有意に低値を示した. 脳代謝のひとつの指標として乳酸, ピルビン酸を測定し, 動脈および内頸静脈血との比較をしたが, 一定の傾向はみられなかった. <結論>一次性脳損傷の死亡例にSj_O2 の連続測定を施行した. 受傷または発症後24時間のSj_O2 が死亡例で有意に高く, 早期の予後判定に有用であった. そのクリティカルレベルは80%と考えられた. 内頸静脈の乳酸, ピルビン酸と予後との相関関係は見られなかった.
ISSN:0288-4348