肺分画症の1例

症例は34歳, 男性. 平成9年8月の検診胸部単純写真で異常影を指摘され, 10月17日, 当科初診. 初診時胸部単純写真で, 左下葉に血管影と考えられる異常影を認め, 胸部に血管性雑音を聴取せず. 臨床検査では, 異常を認めず, 血液ガス所見もほぼ正常範囲であった. 断層写真で気管支はB^6,8,9,10 の分岐が認められるが, 異常肺には到達せず. 胸部CTでは, 左下葉縦隔に接して, 異常血管が描出され, この異常血管が分布する肺の構造は気腫状で正常構造を認めず, 異常肺を包む胸膜は認めず. 異常肺内には, 気管支の透亮像を認めず. 腹部大動脈造影で, 腹部大動脈の腹腔動脈より半椎体頭側...

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Published in気管支学 Vol. 20; no. 7; p. 623
Main Authors 星野多美, 村山睦, 孫政実, 平松哲夫, 松本修一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本気管支学会 25.11.1998
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ISSN0287-2137

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Summary:症例は34歳, 男性. 平成9年8月の検診胸部単純写真で異常影を指摘され, 10月17日, 当科初診. 初診時胸部単純写真で, 左下葉に血管影と考えられる異常影を認め, 胸部に血管性雑音を聴取せず. 臨床検査では, 異常を認めず, 血液ガス所見もほぼ正常範囲であった. 断層写真で気管支はB^6,8,9,10 の分岐が認められるが, 異常肺には到達せず. 胸部CTでは, 左下葉縦隔に接して, 異常血管が描出され, この異常血管が分布する肺の構造は気腫状で正常構造を認めず, 異常肺を包む胸膜は認めず. 異常肺内には, 気管支の透亮像を認めず. 腹部大動脈造影で, 腹部大動脈の腹腔動脈より半椎体頭側より, 腹腔動脈より太い異常血管が分岐し, 縦隔側より樹枝状に左肺下葉に分布. 静脈灌流は下肺静脈であった. 肺動脈造影では, A^9,10 は血流が悪く, 造影不良であったが, 全枝存在. 以上より, 肺葉内肺文画症と診断. 肺機能に問題なく, 肺感染症の既往もない為, 経過観察とした.
ISSN:0287-2137