末梢型微小腺癌に対する経皮的肺穿刺法の進歩と細胞診の意義

肺野末梢の微小腺癌に対して, 経皮的肺穿刺法は有用な診断技術である. 近年CTガイド下での生検法も普及してきたが, 肺野の微小病変に対して, 細胞診と組織診のいずれを重視すべきかは明らかではない. 今回微小腺癌の経皮的肺穿刺法による診断率および細胞所見を解析し, 微小腺癌に対する細胞診の意義について検討した. 1991年から1997年末までに当院で経皮的肺穿刺を行った末梢型腺癌の診断率を腫瘍長径毎に比較すると, 10mm以下57%(4/7), 11-15mm83%(29/35)であった. 一方, 透視下で確定診断を試みた全肺野病変のうち腺癌の有病率を腫瘍径別に見ると, 10mm以下の13.5%...

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Published in気管支学 Vol. 20; no. 3; p. 228
Main Authors 中山富雄, 楠洋子, 宝来威, 宇田裕史, 船越俊幹, 今村文生, 中村慎一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本気管支学会 25.04.1998
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ISSN0287-2137

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Summary:肺野末梢の微小腺癌に対して, 経皮的肺穿刺法は有用な診断技術である. 近年CTガイド下での生検法も普及してきたが, 肺野の微小病変に対して, 細胞診と組織診のいずれを重視すべきかは明らかではない. 今回微小腺癌の経皮的肺穿刺法による診断率および細胞所見を解析し, 微小腺癌に対する細胞診の意義について検討した. 1991年から1997年末までに当院で経皮的肺穿刺を行った末梢型腺癌の診断率を腫瘍長径毎に比較すると, 10mm以下57%(4/7), 11-15mm83%(29/35)であった. 一方, 透視下で確定診断を試みた全肺野病変のうち腺癌の有病率を腫瘍径別に見ると, 10mm以下の13.5%, 11-15mmの23.3%であり, 小型肺野病変の大半は良性病変であった. 確定診断を必要とする微小肺野病変には良性病変の占める割合が高く, “診断を確定させる”という意味での細胞診の寄与は少ない. しかし, 肺穿刺法で採取された細胞像は, わずかな細胞数でも, 良悪性診断は容易であり, また組織構築を反映していることから, 悪性度の推定も可能である. 画像的に悪性の疑いが強い場合は, 細胞診を, 良性を疑う場合は組織診を重視すべきであると考える.
ISSN:0287-2137